心臓ペースメーカーの小型化に貢献するセラコン:車載用途に展開していた製品を応用
村田製作所は、心臓ペースメーカーなどのインプラント医療機器向けに積層セラミックコンデンサを開発したと発表した。車載市場向けに展開していた信頼性の高いコンデンサの設計技術や品質管理を応用した製品となっている。同製品は、CEATEC JAPAN 2015において展示される。
村田製作所は2015年10月6日、心臓ペースメーカーなどのインプラント医療機器向けに積層セラミックコンデンサを開発したと発表した。インプラント医療機器は体内に植え込むことが必須であるため、機器の小型化により人体への負担を低減させることが求められる。同製品は、村田製作所が車載市場向けに展開していたコンデンサの設計や品質管理を応用。インプラント機器の高密度設計を可能にし、機器の小型化に貢献するという。
人命をサポートする用途向けには初めての展開
同製品は、故障により機器の機能が低下、停止した場合でも人命に直結しない回路(ノンライフサポート回路)に適した「GCHシリーズ」と、故障が直ちに人命に直結する回路(ライフサポート回路)に適した「GCRシリーズ」を展開している。GCRシリーズは、GCHシリーズに対して個別のスクリーニングを実施したシリーズである。
同社は、「以前からレントゲン装置や体温計向けの製品は展開していたが、今回初めて人命をサポートする用途向けに積層セラミックコンデンサを展開する。車載用途で培ってきた技術を応用したことで、小型化だけでなくコスト面も抑えることができ、現行で使用されているタンタルコンデンサから置き換えが可能になる」と語る。
大きさは、1.0×0.5mm、1.6×0.8mm、2.0×1.25mm、3.2×1.6mm、3.2×2.5mmの5タイプがある。GCHシリーズは2015年4月より量産を開始し、GCRシリーズは2015年内中に量産開始予定である。価格は出荷数量によって変動するため、非公開としている
なお、同製品は、2015年10月7〜10日に千葉市・幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2015」の村田製作所ブースで展示される。
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