NORフラッシュと3D XPointの動向:福田昭のストレージ通信(18) フラッシュメモリの現在(3)(1/2 ページ)
今回は市場が縮小傾向にある「NORフラッシュメモリ」と、2015年夏にIntelとMicron Technologyが発表した「3D XPoint(クロスポイント)メモリ」について、紹介する。
10年足らずで市場規模が4分の1に激減
前回に続き、「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」からJim Handy氏の講演概要をご紹介しよう。Handy氏は、半導体の調査会社Objective Analysisでアナリストをつとめる。講演タイトルは「Flash Technology : Annual Update」である。講演では4つのテーマを取り上げた。(1)NANDフラッシュメモリの市場動向、(2)SSD、(3)NORフラッシュメモリの市場動向、(4)3D XPoint(クロスポイント)メモリ、である。
前回までに、「(1)NANDフラッシュメモリの市場動向」と「(2)SSD」をご紹介した。今回は「(3)NORフラッシュメモリの市場動向」と「(4)3D XPoint(クロスポイント)メモリ」の講演概要をご報告する。
Handy氏は始めに、NORフラッシュメモリの市場規模推移(世界市場)をグラフで示した。グラフで示されたのは、2006年〜2014年の市場規模である。2006年には、80億ドル強の市場規模があった。それが年を減るごとに縮小し、2009年〜2011年には約半分の40億ドルに減少した。その後も市場規模は縮小し、2014年にはさらに半分の20億ドルにまで減ってしまった。
NORフラッシュメモリの主なベンダーは、Spansion、Numonyx、Samsung Electronicsなどだった。SpansionはCypressに買収され、同社の傘下に収まった。NumonyxはIntelとSTMicroelectronicsのフラッシュメモリ合弁として設立されたが、その後、Micron Technologyに買収され、吸収された。SamsungはNORフラッシュメモリ事業から撤退した。10年に満たない間に市場規模が4分の1に激減したことが、ベンダーのすう勢に大きく影響したことが分かる。
スマートフォンの登場と普及が市場を奪う
それではNORフラッシュメモリの市場では、何が起きたのだろうか。携帯電話機向け市場の大きな変化が、NORフラッシュメモリの市場規模を急速に縮めた。変化とは、スマートフォンの登場と普及である。スマートフォンは大容量NANDフラッシュメモリとDRAMを搭載した。NANDフラッシュメモリに格納してあるプログラムをDRAMに転送してから、プログラムを実行する。この手法で、NORフラッシュメモリを不要にした。
携帯電話機(フィーチャーフォン)では、NORフラッシュメモリに格納してあるプログラムを直接、CPUが読み込んで実行するという手法が一般的だった。NORフラッシュメモリにとって携帯電話機向けは、需要の大きな割合を占めていた。ところが、スマートフォンはNORフラッシュメモリを必要としない。スマートフォンの普及によってNORフラッシュは供給過剰となり、大きく値下がりした。NORフラッシュのベンダーは、合併によって生き残りを図ったり、NORフラッシュの事業から撤退したりした。
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