携帯網とWi-Fi網、対立の構図:独自の5GHz帯通信も登場し、混乱招く?(1/2 ページ)
セルラーネットワークとWi-Fiネットワークを提供する事業者の間で、対立が深まっている。独自の5GHz帯通信を提供しようとするメーカーも現れ、通信業界では混乱が起こる可能性もある。
セルラーネットワークとWi-Fiネットワークを提供する事業者の対立が深まっている。
スマートフォンおよびアクセスポイントを開発しているある新興企業は、セルラーネットワークでの通信を、独自の5GHzネットワークに分散(オフロード)することで得られる売上金の一部を、ユーザーに支払うことを約束している。これとは対照的に、米国カリフォルニア州サンノゼ市の最高情報責任者(CIO)であるVijay Sammeta氏は、ベンダーに対し、ホームレス向けに「Wi-Fi Calling*)」対応のスマートフォン(以下、Wi-Fiスマートフォン)を開発するよう呼び掛けた。
*)Wi-Fiネットワークのみで通話やSMS送受信ができるサービスのこと。
2015年10月12〜15日までサンノゼ市で開催された「Wi-Fi Global Congress」でのパネルディスカッションで、Sammeta氏は「ソーラー充電タイプのWi-Fiスマートフォンをホームレスの人に提供するのは非常に有意義なアイデアだ。こうしたスマートフォンは、通信速度は遅いものの、公共サービスに関するデータを含んでおり、ホームレスの生活ががらりと変わる可能性がある」と述べた。
コンサルティング会社のBluestein & Associatesで社長を務めるWhitey Bluestein氏は、「Wi-Fi Callingは、ローミングのような性能を持つまでには至っていないが、今後5年のうちにセルラーネットワークのレベルに達する可能性はある」との見解を示した。
Sammeta氏は、Wi-Fiスマートフォンが米国ニューヨークのタイムズスクエアのような場所で、都市需要に対処するようになるのは間違いないと述べた。さらに同氏は「こうしたコンセプトが掲げられたのは、輻輳(ふくそう)や、通信環境に対する公平性から考えれば、ごく自然なことだ」と説明した。
一方でSammeta氏は、都市部の無料Wi-Fiサービスが実際には無料ではないことを指摘した。「無料Wi-Fiサービスのあるコンベンションセンターに行ったら、ユーザー同意書を見てみてほしい。われわれは、バックエンドで無料サービスを収益化する。アクセスポイントとバックエンドは無料ではないからだ」(同氏)。
ロサンゼルスは広域でWi-Fi網を構築予定
大小さまざまな都市で、Wi-Fi環境をめぐる議論が巻き起こっている。2015年6月、米国ロサンゼルスは、最先端のブロードバンドネットワークとWi-Fiネットワークを構築すべく、通信関連のメーカーの募集を開始した(参考)
ロサンゼルスは、スループットが少なくとも1Gビット/秒(Gbps)のネットワークを5年以内に完成させて、基本サービスを無料で提供することを目指している。募集は、同年11月12日までとなっている。
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