検索
特集

次世代ミリ波レーダー用IC、チップセットで提供技術革新でコストダウン、世代ごとに3割削減(1/3 ページ)

インフィニオン テクノロジーズは、車載レーダーシステム向けチップセットを2019年より市場に投入していく計画である。Gen 3と呼ぶ次世代製品では、77GHzミリ波レーダーチップに加えて、MCU(マイクロコントローラ)や電源ICも同時に供給していく。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 インフィニオン テクノロジーズ(Infineon Technologies/以下、インフィニオン)は、車載レーダーシステム向けチップセットを2019年より市場に投入していく計画である。Gen 3と呼ぶ次世代製品は、77GHzミリ波レーダーチップに加えて、MCU(マイクロコントローラ)や電源ICも同時に供給していく。現世代(Gen 2)製品に比べて、システムレベルで約30%のコストダウンを可能とする。


オートモーティブ事業本部(ATV)センス&コントロールのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャを務めるRalf Bornefeld氏

 インフィニオンは2015年11月5日、東京都内で記者説明会を開催し、車載用ミリ波レーダーチップを中心に、ADAS(先進運転支援システム)などに向けた製品展開や業界動向などについて語った。全世界の車載用半導体市場におけるシェアについて、オートモーティブ事業本部(ATV)センス&コントロールのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャを務めるRalf Bornefeld氏は、「2014年は10.5%となった。最近は首位のルネサスに肉薄している」と話す。製品別の市場シェアは、パワー半導体で首位、センサー製品ではBoschに次ぐ2位を確保している。MCUは3位にとどまっているが「パワートレイン用途にフォーカスした製品展開となっているためだ。これからはそれ以外の用途にも範囲を広げてMCU製品を展開していく」方針である。


全世界の車載用半導体市場におけるシェアランキングと製品別のメーカーシェア (クリックで拡大) 出典:インフィニオン

裾野が広がるミリ波レーダーシステム

 車載用半導体市場の中でも、大幅な市場拡大が見込まれているのがADAS関連半導体製品である。さまざまなセンサー製品やプロセッサ/コントローラ、アクチュエータ製品などが用いられている。中でも、レーダーセンサーやイメージセンサーは、バックモニターなどの運転支援システムや、将来の自動運転システムを構築する際に重要なデバイスの1つとなる。

 自動車メーカーの設計コンセプトによっても異なるが、「将来的にはショートレンジ、ミドルレンジ、ロングレンジをカバーするため、一台当たり最大10ユニットのレーダーシステムが搭載される可能性もある」(Bornefeld氏)という。

 インフィニオンは、ADAS向けに77GHzのミリ波レーダーチップ「RASIC」を供給している。同社が行った最初の技術革新(Gen 1)は、2009年に市場投入した製品で、SiGe(シリコンゲルマニウム)技術を用いて製造した。それまでのGaAs(ガリウムヒ素)技術で製造された製品を用いると、8個のRFチップが必要となっていたという。

 同社はSiGe技術を用いることで回路の集積度を高め、トランシーバ部をシングルチップとした。オシレータを組み合わせて同じ機能を2チップで実現できるようにした。これによって、GaAsチップに比べてモジュールコストを30%削減することが可能となり、「AudiのA4やBMWの3シリーズなど中級クラスの自動車にもミリ波レーダーシステムが採用されるようになった」(Bornefeld氏)と話す。


同社の77GHzミリ波レーダーチップ「RASIC」は、SiGe技術を用いて製造した(右側の写真)。2つのチップのうち大きい方がトランシーバチップ、小さい方がオシレータである (クリックで拡大) 出典:インフィニオン

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る