IoT向けSoCでは、ムーアの法則を追わず:最先端プロセスを適用する必要はない(1/2 ページ)
コストと性能のバランスが最も重視されるIoT機器に搭載されるSoCでは、最先端のプロセスを適用することは必ずしも最善の策ではない。
ここ数カ月間で、一部の大手半導体企業とファウンドリが、モノのインターネット(IoT)向けSoC(System on Chip)あるいはワイヤレスSoCの小型化と低コスト化を実現する手段として、14nmプロセスを採用することを発表している。
市場調査会社のObjective Analysisでアナリストを務めるTom Starnes氏は、こうした取り組みのほとんどは、ごく一般的なプロセッサアーキテクチャに関連することで、IoT機器の要件とはあまり関係がないと指摘した。
SoCは、デジタル回路だけでなく、アナログ回路やRF回路も集積している場合もある。これらは、トランジスタのように容易に微細化できない要素だ。
Starnes氏は「最終的には、14nmあるいは20nmといったプロセスを採用したIoT向けSoCが登場すると思われるが、それはまだ先のことだ」と述べた。
Silicon Labsのシニアバイスプレジデントとして、同社の事業を統括するSandeep Kumar氏は、Starnes氏の見解に同意した。Kumar氏はEE Timesとのインタビューの中で、エンドノードIoT向けSoCは、デジタル回路のみのSoCとは異なる要件と課題を持つと説明している。
Kumar氏は「IoT向けSoCは、大部分がデジタルSoCとは異なり、ムーアの法則を追及することはない」と付け加えた。
プロセスを進めることへの切迫感は「ない」
Silicon Labsは、ウェアラブル機器、ホームオートメーション、スマートメーター、スマート照明、健康およびフィットネス、工場自動化、輸送、ロジスティック、農業といった幅広い市場向けに、低消費電力かつ低データ速度の無線接続アプリケーションをターゲットに絞っているので、Kumar氏の見解は、同氏の豊富な経験に基づいたものだといえる。Silicon Labsは現在、90nmプロセスを用いて、32ビットのARMコアを搭載したワイヤレスSoCを製造している。Kumar氏によると、同社には近い時期にプロセスノードを進化させることへの切迫感は一切ないという。
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