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ナノワイヤと非シリコン材料で「ムーアの限界」を突破福田昭のデバイス通信 IEDM 2015プレビュー(6)(1/3 ページ)

今回はセッション13〜15の概要を取り上げたい。セッション15では、「モア・ムーア(More Moore)」と「モアザン・ムーア(More Than Moore)」の両方に関する研究成果が発表される。「モアザン」については、フランスの研究チームが折り曲げ可能なCMOS回路を紹介する。

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レンズを不要にしたデジタル顕微鏡技術

 前回に続き、2015年12月に開催予定の国際学会「IEDM 2015」から、カンファレンス2日目である12月8日(火)の午前に予定されている技術講演を解説する。この時間帯では、セッション10からセッション15までの6本のセッションが並行に進む。今回は残りの3つのセッション、すなわちセッション13(センサー、MEMSとBioMEMS)とセッション14(キャラクタライゼーション、信頼性、歩留まり)、セッション15(プロセス技術と製造技術)の講演をご紹介しよう。

12月8日午前の一般講演セッション一覧
12月8日午前の一般講演セッション一覧(クリックで拡大)

 セッション13(センサー、MEMSとBioMEMS)のテーマは、「生体分子と細胞機能の検出に向けたSiベースのナノデバイス」である。フォーカスセッションでもあり、全ての講演が招待講演で構成されている。

 米国のNorth Carolina State UniversityとFlorida International Universityの共同研究グループは、p型酸化スズ(SnO)によるオゾンセンサーを開発した(講演番号13.1)。検出可能なオゾンの濃度は25ppbと高感度で、消費電力は65μWと低い。ウェアラブル端末のセンサー向けである。スイスのETH Zurichは、ニューロンとのインタフェース向けに、平方ミリメートル当たりで3000個を超える微小で高密度なCMOSマイクロトランスデューサを試作した(講演番号13.2)。CMOSチップによってニューロンの信号を記録したり、ニューロンに信号で刺激を与えたりできる。

 フランスのCEA LETIなどで構成する研究チームは、レンズのないデジタル顕微鏡技術を概観する(講演番号13.4)。インライン・ホログラフィをベースにしたこの技術は近年、急速に発達してきた。2009年には10μm(細胞)、2010年には1μm(バクテリア)を解像可能になった。2012年には直径100nmの粒子を解像可能になり、2013年にはウイルスを検出できるまでに進化した。

 日立製作所は、研究中の直接DNAシークエンス技術を報告する(講演番号13.6)。直径が1nm〜3nmと微小な孔を数多く開けた固体の構造物を作製した。孔の直径が1.2nm以下になると、孔を1個のssDNA(single-stranded DNA)だけが通り抜けられるようになる。

セッション13の講演一覧
セッション13の講演一覧(クリックで拡大)

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