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インタビュー

車載市場でのブランド作りはゼロから始めるIDT 社長兼最高経営責任者 Gregory Waters氏(2/3 ページ)

IDTは2015年12月、車載半導体を手掛けるドイツZMDI(Zentrum Mikroelektronik Dresden)を買収した。これにより、車載半導体市場に本格的に参入することになる。IDTの社長兼最高経営責任者を務めるGregory Waters氏は、同市場におけるブランド力をゼロから作り上げると意気込む。

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ブランド力をゼロから構築

EETJ 2015年12月15日に東京都内で行われた記者説明会では、「車載ビジネスで5年後には4億〜5億米ドルの売り上げ規模を見込む」と話していましたね。

Waters氏 それはもっと長期的な見込みだ。車載事業において、短期的な売上高目標値は公開していない。

EETJ 車載半導体市場には、強力なプレーヤーが何社もあります。そういったメーカーとどのように競合していくのですか。

Waters氏 車載半導体市場は、2015年は290億米ドル規模と非常に大きい。ただ、われわれが狙える特定の分野は、290億米ドルのうち40億〜60億米ドルほどになる。その特定分野とは、図1で示したものだ。つまり、IDTが狙う分野は狭く、アナログ/ミックスドシグナル製品を扱うプレーヤーとしては、競合はいないと思っている。

 さらに当社の製品は、シグナル・コンディショニングや、リニアリティ(線形性)といった点で競合他社品よりも優れている。それがIDTの強みだ。

EETJ ちなみに、ZMDIの知名度はどれくらいありますか。

Waters氏 欧州ではよく知られているが、実は米国を含む他の地域ではあまり知られてはいない。規模が、やや小さいからかもしれない。ZMDIの年間売上高は約8000万米ドルだ。従業員は400人ほどで、全員がIDTに移っている。

ZMDIとIDTがそれぞれ抱えていた顧客層
ZMDIとIDTがそれぞれ抱えていた顧客層(クリックで拡大) 出典:IDT

EETJ ZMDIの名前は、買収後も製品ブランドとして残るのでしょうか。

Waters氏 一切残らない。顧客を混乱させないためにも、IDTブランドで統一する。

EETJ ですが、IDTはこれまで車載ビジネスを行っておらず、同市場では名前は通っていないですよね。一方で、ZMDIはブランド力を確立しています。つまり、車載市場では、ZMDIの資産はあれど、IDTとしてのブランド力をゼロから作るように聞こえますが。

Waters氏 その通りだ。ゼロから作る。だが当社は過去2年間で、年間売上高を5億米ドルから8億米ドルへと成長させたこともあり、(車載市場でのブランド力の構築については)自信を持っている。特に、ZMDIの名前があまり知られていない日本や韓国、中国では、(車載半導体サプライヤーとしての)IDTの名前を浸透させる新しい機会になると考えている。自動車市場に参入するのは決してたやすいことではないが、同市場向け製品として最も必要な“品質”は、ZMDIがもたらしてくれている。

EETJ 売上高が2年間で5億米ドルから8億米ドルになったということですが、それが実現できた理由は何でしょうか。

Waters氏 より優れた製品を、より速く開発する。これに尽きる。

EETJ 言うはやすく行うは難し、ですね。その売上高増加に最も貢献した製品カテゴリは何ですか。

Waters氏 その年によって異なるが、2013年は通信向け、2014年はデータセンター向け、そして2015年は民生向け、とりわけワイヤレス給電だった。売上高の3分の2は、韓国と中国からきている。

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