トライクラスタのモバイル・プロセッサやフルHD12Ch処理SoCが登場:福田昭のデバイス通信 ISSCC 2016プレビュー(2)(1/2 ページ)
今回は、セッション4〜6のハイライトを紹介する。セッション4では、MediaTekが、ARMv8AアーキテクチャのCPUコアを10個内蔵するモバイル・プロセッサを披露する。動作周波数の違いによってCPUコアを3つのクラスタ(トライクラスタ)に分けているものだ。ルネサス エレクトロニクスは、フルHDのビデオ処理を12チャンネル実行する車載情報機器向けSoCを発表する。
カンファレンス初日午後の注目講演
前回に続き、ISSCC 2016の技術講演セッションから、2016年2月1日(月)午後に発表予定の講演論文のハイライトをお届けしよう。
この時間帯は、セッション2からセッション6までの5本のセッションが同時並行に進行する。メインテーマはセッション2が「RF」、セッション3が「ワイヤライン通信(有線通信)」、セッション4が「デジタル・アーキテクチャ」、セッション5が「アナログ」、セッション6が「イメージャ/MEMS/医療/ディスプレイ」である。この中で前回は、セッション2とセッション3の注目講演をご紹介した。
今回は、セッション4〜セッション6の注目講演をご紹介しよう。
14nmプロセスを駆使した最先端のPC用プロセッサ「Skylake」
セッション4のサブテーマは「デジタル・プロセッサ」である。高い処理性能を実現しつつ、消費電力の増大を抑えるプロセッサ技術が続出する。Intelがはじめに、14nmプロセスによる第6世代のCoreアーキテクチャ(開発コード名:Skylake)を採用したSoC(System on a Chip)を発表する(講演番号4.1)。22nmプロセスによる第4世代のCoreプロセッサに比べ、処理性能当たりの消費電力を半分に減らしたとする。
MediaTekは、ARMv8AアーキテクチャのCPUコアを10個内蔵するモバイル機器用アプリケーション・プロセッサの開発成果を披露する(講演番号4.3)。動作周波数の違いによってCPUコアを3つのクラスタに分けている。1.4GHzのクラスタと2.0GHzのクラスタ、2.5GHzのクラスタである。
ルネサス エレクトロニクスからは2件の発表がある。1件は、フルHDのビデオ処理を12チャンネル実行する車載情報機器向けSoCで、ルネサスシステムデザインおよびベトナムのRenesas Designと共同で開発した(講演番号4.4)。H.264のデコード処理と歪み補正処理に必要な時間は合計で70ミリ秒と短い。消費電力は197mWである。もう1件は自動車用の機能安全規格ISO26262 ASIL-Bに対応したヘテロジニアス・マルチコアSoCで、ルネサスシステムデザインと共同で発表する(講演番号4.5)。1時間当たりで10−7と低い、ランダム・ハードウェア故障率を達成している。
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