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ダイエットで脳が壊れる? 危険な“負の連鎖”:世界を「数字」で回してみよう(25) ダイエット(2/7 ページ)
ある晩、風呂に入ろうとしていた私の体を見て、娘が悲痛な叫びをあげました。鏡を見ると、びっくりするほど痩せ細った私が映っていたのです。今回は、ダイエッターにとって決してひとごとではない“ダイエットの負の連鎖”、つまり摂食障害の深刻さについて数字を分析してみましょう。
江端智一「拒食症疑惑」
こんにちは。江端智一です。
今回は、摂食障害のメカニズムとそのプロセスについて、私の事例を含めて説明をします。
また、摂食障害についての海外の法律の整備の状況などもついてもお話したいと思います。
さて、拒食症と過食症は、根っこは同じ「摂食障害」という重篤な障害のことです(参考)。この2つの症状は、まったく真逆の用語、真逆の食行動の異常(食べない/食べ過ぎる)なのにもかかわらず、その発生原因は共通しています、それは、「体重やスタイルに対する過度なこだわり」です。
まず、拒食症の特徴を以下の図で説明します。
次に、過食症の特徴を以下の図を使って説明します。
ご覧の通り、拒食症も過食症も、
- 「自分を客観的に見られなくなる」
- (最悪の場合)「自力で食事をコントロールすることができなくなる(空腹/満腹を感じられなくなる、食べたものを嘔吐してしまう)」
- 若い女性で、発病率が圧倒的に高い
が、特徴として上げられます。
「キレイでありたい」「かわいいと思われたい」―― 男性で中年の私には、当然、共感することができない気持ちなのですが ―― 高校2年生の娘の日常を見ている父親としての私の結論は、「ティーン女子のダイエットに、どんな理屈や数値を持ち込んでも無駄である」ということです。
これは、拒食症や過食症が、若い女性たちにとって、決してひとごとではなく、誰もがなる可能性がある病気であり、そのことを、社会全体が理解し、受け入れなければならないということだと思っています。
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