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インタビュー

高技術難度領域に解決策を提供する――TEジャパンコネクティビティ/センシングのリーダーとして(1/3 ページ)

タイコ エレクトロニクス ジャパン(TE ジャパン)は、コネクタ/センサーの展開を強め、2016年9月期も3〜4%の売り上げ成長をもくろむ。「市場は、全般的にはマイナス成長となるが、ハイブリッド車/電気自動車向けビジネスなどを伸ばすことで成長を実現したい」とする同社社長の上野康之氏に聞いた。

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 電子部品大手の米TE Connectivityの日本法人であるタイコ エレクトロニクス ジャパン(以下、TEジャパン)は2016年9月期も、自動車向け/民生機器向け/産業機器向けの各事業を展開するビジネスユニットの連携を強めながら、事業規模を拡大させる方針。2015年1月にTEジャパン社長に就任し、“ワン・TEジャパン”を掲げ、BU間連携の仕組み作りなどを行ってきたという上野康之氏に、2016年の事業戦略などについて聞いた。


思った以上に「忙しい1年」

EE Times Japan(以下、EETJ) 社長就任から1年が経過しました。この1年を振り返ってください。

上野康之氏 思っていた以上に忙しい1年だった。

 就任当初は、(統括する)自動車事業に関する業務が7割、社長としての業務が3割という仕事配分を考えていた。しかし、自分で業務を増やしてしまったこともあり、自動車事業の業務が減らないにもかかわらず、社長としての業務が5割を超えた形になっている。

 とはいえ、難しいことや、新しいことにチャレンジすること自体、嫌いではないので、楽しく1年、業務を行えたと思う。

EETJ 社長としての業務として増やされた部分は、どのような業務ですか。

上野氏 当社の事業は、グローバル単位のビジネスユニット(以下、BU)ごとに実施している半面、TEジャパンとしてのまとまりに少し欠ける部分を感じていた。さまざまなビジネスがボーダーレス化してきている中で、仕切られたBUの中で完結させるよりも、BUが連携し、TEジャパントータルとしての力を発揮することで、より充実した顧客対応が行えるはずだ。

 そこで「ワン・TEジャパン」というスローガンを掲げ、グローバル単位のBUという縦串の仕組みを残しつつ、ジャパンとして、横串を通しBU間で連携する仕組みや、従業員にとってTEジャパンという企業がより働きやすく誇りに思えるような取り組みを実施してきた。

 もちろんこれまでも、ワン・TEジャパンとしての取り組みを行ってきたわけだが、それを一層強化し、よりBU間、従業員間の結び付きを強めるイメージで取り組んだ結果、社長としての業務が増えたかと思っている。

より強い「ワン・TEジャパン」に向けて

EETJ 「ワン・TEジャパン」に向けた取り組みについて詳しく教えてください。

上野氏 例えば、先日、TEジャパンに300人以上いる管理職を対象に「リーダーシップフォーラム」というイベントを行った。そこでは、共通のテーマを設け、BUを問わず、管理職同士が意見や情報を交換し、認識を共有しようという試みだった。

 他にも、ダイバーシティー&インクルージョン(多様性を受け入れ、さまざまな考えを許容すること)を目指して、まずは、TEジャパンの女性従業員が集まり、会社への提案などを発起してもらう場をスポンサードしている。当社は、外資系企業でもあり、女性の比率が、(国内企業に比べて)比較的高いと考えている。しかし、これまで、女性が活躍しやすい場を提供し、十分に意見を取り入れてこられたか、ということをあらためて見直し、より女性のアイデアも生かした事業を展開していきたいと考えている。

 また、BUを問わず従業員を集めた英語教育などもスタートした。こうした取り組みで、従業員はそれぞれのBU以外の従業員と顔を合せたり、コミュニケーションをとる機会が増え、より一体感が高まってきており、これからも人材育成という面も兼ねて継続して行っていくつもりだ。

技術ノウハウ/設備の相互活用も進む

EETJ ビジネス面での「ワン・TEジャパン」の取り組みの成果は生まれていますか。

上野氏 既にいくつか生まれている。例えば、自動車は、ハイブリッド車(HEV)/電気自動車(EV)や燃費改善などに向けた環境対応技術開発と並行して、コネクテッドカー技術の開発が盛んになり情報通信技術との融合が進んでいる。そこで、自動車にも通信の技術が入ってくる。Wi-FiをベースにしたV2X(車車/路車間通信)向けのIEEE 802.11pであったり、LTEであったりという無線/アンテナ技術が必要になる。こうした技術は、もともとコンピュータやスマートフォン向けで確立した分野だ。特にアンテナは、アンテナ自体よりも、機器に組み込む際のノイズなどを考慮したアンテナ配置などの技術ノウハウを問われる部分であり、そうした知見や設備は民生機器のBUが有している。こうした民生側のノウハウを自動車に生かすというコラボレーションがうまくできている。

 このようにテクノロジーも顧客も、これまでと違いボーダーレスになっている。生産技術についても、デジタルファクトリーなどいろいろ概念が登場し、変わりつつある。そうした議論も、BUが連携して実施していきたいと考えている。

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