人に“触れない”近接センサーが見守りを支える:産総研がフィルム状の静電容量型を開発(1/2 ページ)
産業技術総合研究所は、島根県産業技術センターと共同で、非接触式の静電容量型フィルム上センサーを開発したと発表した。床やベッドの裏側などの人の目に触れないところに設置し、使用者に精神的/肉体的な負担をかけることなく、動きや呼吸を検出できるという。
産業技術総合研究所(以下、産総研)は2016年1月25日、島根県産業技術センターと共同で、非接触式の静電容量型フィルム上センサーを開発したと発表した。床やベッドの裏側などの人の目に触れないところに設置し、使用者に精神的/肉体的な負担をかけることなく、動きや呼吸を検出できるという。
同センサーは、フィルム状の表面と裏面に異なるサイズの電極を持つ静電容量型。産総研のフレキシブルエレクトロニクス研究センターが開発した、センサー両面の電極構造を容易に作製する両面印刷作製技術によって実現したという。
なお、同センサーの技術的な詳細は、2016年1月27〜29日に東京ビッグサイトで開催される「プリンタブルエレクトロニクス 2016」で展示される予定である。
スマホのタッチパネルと原理はほぼ同じ
同センサーは、フィルムのおもて面と裏面に電極が設置されたコンデンサー構造になっていて、電極間に交流電圧をかけて用いる。表面と裏面の電極サイズが同じ場合、発生する電気力線は電極間に閉じ込められる傾向にある。しかし、電極サイズが異なると周囲に電気力線が漏れる。電気力線が漏れた状態で人がセンサーに近づくと、電気力線の一部が人の方向に向くため、電極間の静電容量が変化する。これにより、人の接近を検出することができる。
人の接近を検出する際に、電気力線が一般的な床材やベッドマットなどで遮蔽(しゃへい)されない周波数*)の交流電圧をかけると、床の下やベッドの裏側にセンサーがあったとしても、人の接近を検出できるとしている。この動作原理は、「スマートフォンやタブレットなどで用いられる静電容量型のタッチパネルとほとんど同じ」という。しかし、今回開発したセンサーは触れなくても接近するだけで動作するのだ。
*)産総研と島根県産業技術センターは、周波数に200kHzを使用している。
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