ニュース
もう駐車場で迷わない? 音波を使った屋内位置検出:「構成がシンプルで低コスト」(2/2 ページ)
三菱電機は、無線LANと音波を活用した屋内の位置検出ができるシステムを開発した。位置検出までの時間は約100ミリ秒で、誤差は30cm。システム構成がシンプルで、安価で実現できるのが特長だ。GPSの電波が届かない駐車場や、倉庫の物流管理などで利便性の向上に貢献するという。
システム構成がシンプルで安価
GPSが届かない場所の位置検出は従来、無線通信時間測定やビーコンによる位置検出システムなどが活用されていた。しかし、相川氏は、「無線通信時間測定は時刻同期機能を持った特殊な無線装置が必要。ビーコンは、測定精度を高くするに応じて設置台数が増加するなど、システムが複雑で高価になるケースが多かった」と語る。
相川氏によると、従来の位置検出システムにかかる価格は、規模によって異なるが約10個の機器を使用すると約100〜200万円。今回発表したシステムは、既存の無線LAN装置があれば、マイク/スピーカー/CPUを搭載した後付けのモジュールとソフトウェアを追加すると位置検出が可能になる。後付けのモジュールの価格は1個当たり約1万円としており、「構成がシンプルで、かつ、低コストで実現できるのが1番のメリットである」(相川氏)と語る。1台のカバー範囲は、20〜30m四方とした。
同システムは技術的な部分は既に確立されており、今後は適用する製品を絞りながら、2017年4月の実用化に向けたアプリケーション開発を進めていくとした。
デモの様子を写真で紹介
発表会では、音波による位置検出機能を搭載した無線LAN装置4個を部屋の四隅に設置し、タブレット端末の位置を検出して、スポットライトを表示するデモが行われた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2020年に向け開発が進む先端技術、待ちきれない
パナソニックは2016年2月4日、顧客向けプライベート展示会「Wonder Japan 2020」の事前内覧会を開催した。本記事は、展示会の一部から、新しいスポーツコンテンツ体験技術や多言語音声翻訳機、光ID技術を活用した「バリアフリーナビ」などを紹介する。 - 「IoTのラスト100mを狙う」、“切れない無線”に注力するリニア
リニアテクノロジーは「ワイヤレスジャパン2015」で、同社の無線センサーネットワーク技術「ダスト・ネットワークス」の採用事例を展示した。マイクロ秒単位で時刻同期を行い、空間と周波数の点で冗長性を持たせたダスト・ネットワークスは、点在するセンサーからのデータを集約する部分である、“IoT(モノのインターネット)のラスト100m”を狙うという。 - 広い地下街、磁場のゆがみ……そんな東京駅でも迷わない、屋内測位技術を公開
CSRの屋内測位技術「SiRFusion」は、Wi-Fi信号やGPSの情報、加速度センサー/角速度センサーなどを組み合わせて屋内外の測位を行うシステムだ。新たにインフラを設置しなくても、既存のもので対応できるのが最大の特長となっている。 - 30cm以内の精度で測位可能なUWBによる屋内測位システムを開発
情報通信研究機構は、UWB(Ultra Wide Band)を活用した高精度の屋内測位システムを開発したと発表した。GPSなど衛星測位システムが使用できない屋内でも、リアルタイムに30cm程度の小さな誤差で位置測定が行えるという。