IoT機器を“ゆりかごから墓場まで”保護する:ルネサス「Synergy」のセキュリティ機能(1/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスはドイツで開催中の「embedded world 2016」で、IoT(モノのインターネット)向けの設計基盤である「Renesas Synergyプラットフォーム」について、「Device Lifecycle Management」と呼ばれるセキュリティ戦略や、IAR Systemsとの協業などを発表した。
ルネサス エレクトロニクス(ルネサス)は、現在ドイツ ニュルンベルクで開催中の「embedded world 2016」(2016年2月23〜25日)に出展している。大々的にアピールしているのが、2015年6月に発表し、同年10月にβ版の提供を開始した設計基盤「Renesas Synergyプラットフォーム(以下、Synergy)」だ。
Synergyは、動作保証されたソフトウェアパッケージ「Synergy Software Package(SSP)」や、新たに開発したMCUファミリー「Renesas Synergy MCU」、「Tools」、「Solutions」および「Gallery」から構成される*)。
*)関連記事:「半導体業界の“Apple”を目指す」ルネサス
ルネサスは、embedded world 2016に合わせて記者説明会を開き、Synergyに関連した発表を幾つか行った。その中でも、最も注目すべきなのが、Synergy向けのセキュリティ戦略「DLM(Device Lifecycle Management)」である。これは、「顧客が製造するIoT(モノのインターネット)機器を、製造段階から出荷後のアップデートまで、製品のライフサイクル全てのステージにおいて保護する」という提案だ。
IoT機器は、ネットワークにつながることにより、ハッキングや乗っ取り、改ざん、攻撃、複製といった多くのリスクにさらされる。IoT機器のセキュリティは、開発者にとっては最大の懸念事項の1つであり、多くの専門家たちが警鐘を鳴らしている*)。
*)関連記事:IoTでは“セキュリティの悪夢”が起こり得る、専門家も警告
SynergyのDLMは、こうしたリスクに備えるべく開発されたもので、次の2つを狙いとしている。1つ目は、機器メーカー(OEM)が製造委託業者に製造を委託する際、IP(知的財産)を保護できるようにすること。機器メーカーが、開発した製品の製造を委託する際、模造品を作られてしまったり、契約した数量以上に製造されて違法に販売されたり、といった恐れがある。そのため、機器メーカーのIPを製造委託業者から保護する必要がある。そして2つ目は、市場に投入した組み込み機器のファームウェアをリモートで更新する際、改ざんや乗っ取りが起こらないようにすることである。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.