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欧米で急拡大するIoTネットワークMWC 2016で発表相次ぐ(2/3 ページ)

IngenuとLoRa Alliance、Sigfoxは、「Mobile World Congress(MWC)2016」(2月22〜25日、スペイン バルセロナ)において、競争が激しい「LPWA(Low Power Wide Area)ネットワーク」の分野でそれぞれパートナー契約を締結したと発表した。携帯電話通信業界では現在、競合するIoT規格の争いを終わらせるための取り組みが加速しているところだが、こうした中、LPWAネットワークの分野では、IoT接続をめぐって競争が繰り広げられている。

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LoRa Allianceの動向


LoRa AllianceのWebサイト

 LoRa AllianceとSigfoxは最近、欧州最大の市場の1つであるドイツでネットワークを配備するための新たなパートナーシップをそれぞれ発表した。

 ドイツの電力/ガス会社であるE.ONは、Digimondoと呼ばれる新子会社の下でLoRaネットワークを配備する計画だ。同社は既にハンブルグ、ベルリン、ニュンベルグでLoRaネットワークを展開しており、2016年内にはシュトゥットガルト、ミュンヘン、フランクフルト、デュッセルドルフでもサービスの提供を開始する計画だ。

 一方、LoRaボードおよびソースコードはARMの組み込みシステムプラットフォーム「mbed」を通じて配信される予定だ。LoRa Allianceは2015年にMWCで発表されたサービスで、現在では230社以上の会員が利用している。

 フランスでは、Orangeを含む少なくとも9社の事業者がLoRaネットワークを配備する計画を明らかにしている。最新のユーザーであるTata Communicationsは、2015年11月、インド国内にLoRaネットワークを配備する計画を発表した。まずはムンバイを皮切りに同ネットワークを配備し、その後デリーとバンガロールに広げるという。

Sigfoxの動向


SigfoxのWebサイト

 LPWAネットワークの立ち上げ企業の1つであるSigfoxが静観しているはずはない。同社は2015年中に米国の10都市でネットワークを配備したと主張した。同社は2016年末までに米国の50都市をカバーすることを目標としている。

 SigfoxがMWC 2016において発表した内容について、アナリストであるMarkkanen氏は、「同社にとっては、過去最高の大勝利だといえるのではないか」と称賛する。

 例えば、ワイヤレスホームオートメーションや防犯用品を手掛けるGroupe HBFが、同社の「OTIO」ブランド製品においてSigfoxのネットワークを採用し、100万台を提供することで合意したという。製品発表は2016年9月を見込んでいて、まずはフランスとスペイン、ドイツで販売を開始する予定だ。

 Groupe HBFがこれまでに小売店向けに販売してきたセキュリティデバイスの数は、600万台に上る。2020年までには、100種類の製品ポートフォリオを用意する予定だという。

 Groupe HBFでゼネラルマネジャーを務めるMarc Bergougnoux氏は、Sigfoxの報道向け声明の中で、「Sigfoxは、さまざまな国の小売事業において入手可能な製品開発のオファーを受けることができる、唯一のIoTネットワーク企業だ」と述べている。

 また、火災/侵入警報器および駆け付けサービスを提供する欧州のSecuritas Direct Verisure Groupも、2016年4月までにフランス国内において、Sigfoxネットワークを利用するデバイスを20万台以上導入する予定だという。Securitas Direct Verisure Groupは、既にスペインにおいて、Sigfoxネットワークを利用するセキュリティシステムを100万台導入済みだ。万が一、メインのGSMセルラーネットワークに障害が発生した場合に備えて、Sigfoxのネットワークをバックアップとして使用しているという。

 Sigfoxは2016年2月18日、ドイツ国内で2017年までに、全国ネットワークを導入する予定だと発表した。同社の導入実績は、このドイツが14カ国目となる。同社はこれまで、自らが拠点を置くフランスを皮切りに、スペインやポルトガル、英国などでネットワークを展開してきた。

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