5Gの鍵はネットワークスライシング――シスコ:「MWC 2016」(1/2 ページ)
これまで、5G(第5世代移動通信)の技術的な議論といえば、使用する周波数帯や変調方式、MIMO(大規模MIMO)などのアンテナ技術が主だった。だが「Mobile World Congress 2016(MWC 2016)」では、コアネットワークで使われる「ネットワークスライシング」にも注目が集まった。
Cisco SystemsのCEO(最高経営責任者)であるChuck Robbins氏は、「Mobile World Congress 2016(MWC 2016)」(スペイン バルセロナ、2016年2月22〜25日)で行われた5G(第5世代移動通信)関連の討論において、「われわれが価値を見いだしているのは、コネクティビティではなく、データと洞察力だ」と述べている。同氏は2015年7月に、John Chambers氏の後を継いで新CEOに就任した。
Robbins氏は、「ネットワークに接続されているデバイスの数が何十億個にも上る中、次世代ネットワークアーキテクチャは今後、爆発的に普及していくだろう」と付け加えた。
また同氏は、「次世代セルラーネットワークのモバイルコアは、ますます仮想化が進んでいる。ネットワークのエッジ付近まで普及しているため、さまざまな種類のサービスに向けて細かく分割することが可能だ」と指摘する。
新しいコンセプトが登場
有線ネットワークのユーザーにとって、NFV(Network Functions Virtualization)やSDN(Software-Defined Networking)は、なじみのあるネットワーク機能だ。しかし、MWC 2016において新たな注目が集まったのは、モバイル業界が有線ネットワークに肩を並べるようになったことの他、新しいコンセプトとして「ネットワークスライシング」が5Gシステムに取り入れられるようになったという点だ。Ericssonはこれについて、「ネットワークを柔軟な手法で構築して、速度や容量、カバレッジなどを論理的に細かく分配することにより、それぞれのユースケースに特有の需要に対応することが可能になる」と説明している。
セルラーネットワーク通信事業者にとっては、NFVとSDNの他に、新たなコンセプトが追加されることにより、アーキテクチャやビジネス戦略を見直す必要に迫られることになる。
これはセルラー業界にとって、重大な問題だ。
世界のモバイル業界は、ここ数十年にわたり、次世代のセルラー規格の策定に向けて取り組んできたが、その主な関心事は、無線アクセス技術(RAT:Radio Access Technology)や変調方式、ネットワークアーキテクチャなどだった。通信事業者たちは、携帯電話機など特定のハードウェアやアプリケーションの需要に対応可能な接続速度や容量を実現することに腐心してきた。
しかし、こうした取り組みは全て、過去の話になる可能性がある。
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