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シリコンを用いた高効率太陽電池、「限界」を突破するには高効率太陽電池(4/4 ページ)

安価な部材を使い、製造しやすく、高効率な太陽電池を作りたい。米NRELとスイスCSEMが2016年1月に発表した手法では、シリコン技術をベースに異種の半導体を組み合わせた。2層を上下に並べて機械的に接続し、29.8%という高い変換効率を得た。どのような特徴がある技術なのか、NRELのDavid Young氏に開発ポイントを聞いた。

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いかにして変換効率を高めたか

EETJ 変換効率を高くできた理由を教えてください。接合構造やメカニカルスタック方式を採用したこと以外に、どのような工夫がありますか。

David Young氏 接合構造を採るとそれぞれの層がそれぞれのバンドギャップに近い光を吸収できるため、変換効率が高くなります。言い換えれば熱として失われるエネルギーが減ります。

 私たちの工夫は、接合構造を使ったことに加えて、「4端子構造」を採用したことにあります(図4)。4端子構造では2端子構造とは違い、2つの層が生み出す電流をそろえる必要がありませんから、それぞれの層の出力電力を最大にできます*5)

*5) ここで同氏は最大電力点での動作が可能だと主張している。今回の太陽電池セルではトップ層の開放電圧は1.46V、短絡電流密度は14.1mA/cm2。ボトム層は0.68V、22.7mA/cm2。2つの層で数値が異なる。


図4 4端子構造(左)と2端子構造(右)の違い 出典:NREL、CSEM

 装置全体の効率は、それぞれの層の効率で決まります。トップ層の電流密度と電圧の組み合わせ(JV)は、太陽光の一般的な条件のままで構いませんが、ボトム層に到達する光は少なくなりますから、JVは一般的な条件からずれます。それでも変換効率にして8〜12%の効率ポイントで動作しています。

EETJ 2つの層の電流値を合わせる必要がないという利点は分かりました。4端子構造に欠点はないのでしょうか。

David Young氏 接続端子の数が増えることと、2つの層が出力する(電流、電圧の異なる)電力を1つにするための外部電気回路が必要なことです。それほど大きな欠点ではありませんが、対応策を必ず考えなければなりません。

 利点について1つ追加したいことがあります。4端子構造を採ると、朝から夕方まで1日の太陽スペクトルの変化に対応して、常に最大の電力を得ることが容易になります。

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