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“メモリ大国”を目指す中国(前編)前途多難なのか(1/2 ページ)

中国がメモリ技術の開発に注力している。中国のファウンドリーであるXMCは、「3D NAND型フラッシュメモリでSamsung Electronicsに追い付く」と、非常に積極的な姿勢を見せている。

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 日本の複数の半導体業界筋が、EE Timesのインタビューに対し、「中国企業が、独自のメモリ事業を急ピッチで構築しているという臆測は、事実だったようだ。しかし今のところ、その方法や時期などについては、完全に謎に包まれたままである」と述べている。

 中国のNational IC Industry Investment Fund(Big Fund)が豊富な資金を提供している他、地方政府からの資金も増加していることから、“メモリ大国になる”という中国の夢は確実に実現するのではないかという雰囲気が漂っている。

 しかし、中国は現在、その野心はともかくとして、大いに必要としているIP(Intellectual Property)や技術者をどこから確保するのかという難しい問題に直面している。

 中国のファウンドリーであるXMC(Wuhan Xinxin Semiconductor Manufacturing)は2016年3月28日(現地時間)、中国の武漢(Wuhan)において、3次元(3D) NAND型フラッシュメモリの生産工場の建設に着手した*)。同社によると、今回の工場建設にあたり、Big FundやHubei IC Industry Investment Fund、China Development Investment Fundなどの投資ファンドグループから、計240億米ドルの資金提供を受けたという。

*)関連記事:中国XMCが3D NANDフラッシュ工場建設ヘ

 日本で活動する半導体業界の専門家は、「XMCに提供された資金は、異常なまでに高額だ。しかしそのおかげで、きっと成功するのではないだろうか」と皮肉交じりに語る。ただし同氏は、XMCがどの3D NANDフラッシュ技術を採用する予定なのかについて問われると、「XMCは、自社開発のIPを使用するとしているが、本当のところは全く分からない」と述べている。


中国 武漢の位置

東芝対Samsung

 IHSグローバルで日本調査部ディレクターを務める南川明氏も、同様に慎重な見方をしているようだ。同氏は、XMCの3D NANDフラッシュ戦略について、「非常に難しいだろう。Samsungも、3D NANDフラッシュプロジェクトに膨大な資金を投じてきたが、非常に長い時間を要している」と指摘する。

 東芝も、3D NANDフラッシュ開発に悪戦苦闘しているようだ。南川氏は、「東芝の3D NANDフラッシュ事業は、Samsungに対して少なくとも1年間の後れを取っている。東芝は現在、3D NANDフラッシュのサンプル出荷を開始したとしているが、サンプル出荷から量産の実現までには通常、さらに多くのステップが必要だ」と述べる。

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