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電子振動周期860アト秒、GaN半導体で初観測:周波数はペタヘルツへ、半導体の新機能引き出す(1/2 ページ)
NTTと東京理科大学は2016年4月、窒化ガリウム(GaN)半導体において、アト秒時間で振動する電子運動を観測することに初めて成功した。観測した振動周期は860アト秒で、周波数は1.16PHz(ペタヘルツ)に相当する。
NTTと東京理科大学は2016年4月、窒化ガリウム(GaN)半導体において、アト秒(10-18秒)時間で振動する電子運動を観測することに初めて成功したと発表した。観測した振動周期は860アト秒で、対応周波数は1.16PHz(ペタヘルツ)となる。固体物質中で観測された振動現象としては過去最高の周波数だという。
研究グループは、単一アト秒パルスを用いてGaN半導体内部の光誘起に伴う電子の振動現象(双極子振動)を計測した。実験では、近赤外フェムト秒パルス(光子エネルギーは1.6eV)をGaN半導体に照射して、GaN半導体中の電子を価電子帯から伝導帯へと遷移させた。この遷移によって生じる「分極」現象が、電子の振動(双極子振動)を引き起こす。真空紫外の単一アト秒パルス(光子エネルギーは20eV)を時間掃引することで、双極子振動をコマ撮りしたように観測することができたという。
今回の実験では、過渡吸収分光法を用いて計測した透過率を基に、双極子振動によって変化するアト秒パルスの吸光度(吸収率)を算出した。この結果から、計測された振動周期は860アト秒に達し、対応する周波数は1.16PHzになることが分かった。
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