ルネサス、ヘルスケア領域へ本格参入:2020年売上高150億円を目指す(1/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2020年にヘルスケア/医療機器市場で売上高150億円を達成すべく、2016年4月に専門部署を立ち上げ、同市場に対し高付加価値のシステム提案を強化する方針だ。
ルネサス エレクトロニクスは2016年4月、ヘルスケア/医療分野向け半導体ビジネスの拡大を目指し「ヘルスケアソリューション部」を新設し、ヘルスケア機器向け半導体製品やソフトウェアを組み合わせた“ソリューション”の開発を加速させる方針。現在、年間60億円程度のヘルスケア/医療機器向け半導体売上高を2020年に2.5倍の150億円規模に引き上げる方針だ。
ルネサスはこれまでも、汎用マイコンを血圧計や血糖値計といったヘルスケア機器に展開し、年間60億円規模の売上高を上げてきた。そうした中で、日本など先進国を中心に人口の高齢化比率の高まりを受けて、予防医療、健康管理ニーズが増えることが予想されるため、「より一層、ヘルスケア/医療領域での事業を拡大するため、専門部署(=ヘルスケアソリューション部)を設置するに至った」(第二ソリューション事業本部ホーム&MCU・ソリューション事業部長伊藤栄氏)とする。
ヘルスケアソリューション部では、自社半導体製品をベースに、ヘルスケア/医療機器の最終製品の形状により近い“ソリューション”と呼ぶレファレンスシステムなどの開発を加速させる方針。開発、構築したソリューションをベースに、ヘルスケア/医療機器市場で提案を重ね、売り上げ拡大を狙う。
コンセプトは“ホーム&ヘルスケア”
ヘルスケア/医療向けソリューションの開発は、数年前から着手し、既に複数のソリューションを構築済みだが、ヘルスケアソリューション部の立ち上げで、さらにソリューション開発を強化する狙いがある。その一環として、2016年4月20日から東京・有明の東京ビッグサイトで開催される医療機器の設計/製造に関する展示会「MEDTEC Japan」に初出展し、これまで開発してきたソリューションを展示。ヘルスケア/医療機器市場での反応をみて、今後のソリューション開発に生かす狙いだ。
ヘルスケア/医療機器分野に注力する半導体メーカーは、マイコンを手掛けるメーカーを中心に相次いでおり、競争は激しくなりつつある。そうした中で、ルネサスは電力メーターなどエネルギー監視用途を中心に展開してきたノウハウを、ヘルスケア分野へと応用させる「ホーム&ヘルスケア」というキーワードを掲げ、独自性を発揮していく狙いだ。
「ホーム分野では、これまで電流を検出するようなセンシング技術、検出したデータを解析するソフトウェアアルゴリズム、データを伝達する無線通信技術、さらにはセキュリティ技術、クラウド連携技術、低消費電力技術を構築してきた。こうした技術は、ヘルスケア分野でも不可欠な技術であり、共通点が多い。そこで、“ホーム&ヘルスケア”をテーマに、融合を進め、効率良く、優れたソリューションを開発することをねらっている」(ホーム&MCU・ソリューション事業部ヘルスケアソリューション部 岡田紀雄氏)とする。
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