新しい光の市場を創造するウシオが見据える今後:光源から装置、トータルソリューションの提供へ(1/2 ページ)
産業用の光源をはじめ光の応用製品を扱うウシオ電機。エキシマランプは90%、UVランプは75%と高い世界シェアを獲得する同社だが(同社調べ)、映像機器/ライフサイエンス分野への展開も進めている。その理由を、同社コーポレートコミュニケーション課で課長を務める山田宏一氏に聞いた。
「光を熱エネルギー、光化学エネルギーとして利用し、新しい光市場を創造する」――。ウシオ電機、創立時の事業方針にはこうある。産業用の光源から始まったウシオ電機だが、現在は光を使った製造装置だけでなく、シネマ用のプロジェクター/ライフサイエンス分野への展開と、さまざまな変化を続けている。
ウシオ電機は1964年に設立後、2015年3月31日現在で従業員数は約5500人、グループ企業は50社以上に及ぶ。ウシオ電機が扱う光は主に、紫外線/可視光/赤外線の3つだ。例えば、赤外線を放出するハロゲンランプヒーターは、コピー機のトナー定着やシリサイド形成などの半導体プロセスなどの“加熱用”として利用されている。赤外線は波長が長く、遠くまで光が届くのが特徴である。内部まで届いた赤外線によって分子が振動し、熱が発生する仕組みとなっている。
172nmと短波長で高エネルギーの真空紫外線を利用するVUVエキシマ光は、半導体や液晶パネルなどの精密部品の“洗浄用”として使用される。酸素や有機物の分子を分解するVUVエキシマ光の性質を利用して、汚れなどを揮発させる。水や薬品による洗浄のように乾かす時間を必要とせず、周囲への悪影響もないのが特徴である。
エキシマランプの世界シェアは90%
2015年3月期の連結売上高は1593億円。そのうち、装置事業が52.7%、光源事業が45.1%を占める。日本での売上高は18.9%で、80%以上が海外での売上である。
営業利益(103億円)でみると、光源事業が97.3%を占め、装置事業が赤字である。「シリコンサイクルの需要変化に対する影響が避けられない。また、サイクルが早くなっているため、より高性能で安い製品が短い期間で提供しなければいけない。そのため、R&D費用が重く、利益率は低いが今後改善していく」(ウシオ電機)という。
事業分野は、「エレクトロニクス」「ビジュアルイメージング」「ライフサイエンス」の3つに分かれている。エレクトロニクスは、VUVエキシマ光に加えて、フォトリソグラフィーで大きな役割を果たす露光用のUVランプや、各種装置事業も展開している。いずれも世界シェアが高く、エキシマランプは90%、UVランプは75%だ。
ビジュアルイメージングでは、シネマ用クセノンランプなどの光源と、子会社のクリスティ・デジタル・システムズを中心に、プロジェクタ−の提供を行っている。エレクトロニクス分野も含め、光源から装置まで一気通貫で提供できるのが特長だ。世界シェアは、シネマ用クセノンランプが65%を占めている。
新規事業として力を入れるのが、ライフサイエンス分野である。同社のコーポレートコミュニケーション部課長の山田宏一氏は、「ニッチな分野で世界シェアを獲得し、利益率を高くすることを目指している。照明事業を行うウシオライティングでも、デザイナーやゼネコンに対してトータルソリューションで提案を行っている」と語る。
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