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グラフェンに勝る!? 新二次元材料でトランジスタ:LSIの低消費電力と高速動作を両立(1/2 ページ)
東京工業大学(東工大)の宮本恭幸教授らによる共同研究チームは、新しい二次元材料である二硫化ハフニウムを用いたMOSトランジスタを開発した。二硫化ハフニウムが、電子デバイスを高速かつ低消費電力で動作させることが可能な新材料であることを示した。
東京工業大学(東工大)工学院電気電子系の宮本恭幸教授らと理化学研究所、岡山大学による共同研究チームは2016年4月、新しい二次元材料である二硫化ハフニウム(HfS2)を用いたMOSトランジスタを開発したと発表した。HfS2は、従来の二次元材料に比べて、電子デバイスを高速かつ低消費電力で動作させることが可能な新材料であることを示した。
二硫化ハフニウム
HfS2は、遷移金属ダイカルコゲナイドと呼ばれる二次元結晶群に属する材料である。理論計算値では、単原子層の厚さ(約0.6nm)で電子移動度は1800cm2、バンドギャップ(禁制帯幅)は1.2eVと予測されている。これらの特性は、半導体材料として一般的に用いられているシリコンの物性値を上回り、膜厚1nm以下の極めて薄い構造にしても、十分な特性を得られることを示すものである。
二次元材料は、原子レベルの平坦性/厚みで高い移動度を得ることができるという特長を持つ。その代表的な材料がグラフェンで、毎秒10万cm2/V以上という高い移動度が予測されている。しかし、バンドギャップを持たないため、LSI素子に用いるには消費電力の削減が課題となっていた。そこで大きいバンドギャップを有しつつ、電子移動度も高い二次元材料としてHfS2が注目されている。
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