オムロンがAI搭載センサーを発表、自動運転に適用へ:運転手の状態をリアルタイムに判定
オムロンは、顔画像センシングと時系列ディープラーニングを組み合わせた「ドライバー運転集中度センシング技術」を搭載したセンサーを発表した。2019〜2020年発売の自動車へ搭載を目指す。
手のひらサイズのカメラ1台で
オムロンは2016年6月6日、人工知能(AI)を搭載した車載向けセンサーを開発したと発表した。同センサーは、オムロンが20年以上蓄積してきた顔画像センシングと、連続した時間的変化を伴う事象の認識を可能にする「時系列ディープラーニング」を組み合わた「ドライバー運転集中度センシング技術」で実現した。
同技術によって、運転手のさまざまな行動や状態をセンシングし、安全運転に適した状態かをリアルタイムにレベル分けして判定することが可能になる。同社によると、運転手が運転に適した状態かリアルタイムでレベル分け判定できるセンサーは「世界初」だ。
時系列ディープラーニングは、連続したデータを扱うために大規模なサーバシステムへの接続が必要だった。同技術は、カメラから取得した映像データを、「高解像度の顔映像」と「おおまかな動作」の映像に分離した上で、2つの映像を効率的に組み合わせることで画像処理量を低減。これにより、手のひらサイズのカメラ1台で判定でき、車載の組み込み環境でもリアルタイムに実行可能という。
オムロンは、2019〜2020年に発売される自動車などへの搭載を目指すとした。
自動運転で求められる必須の機能として
オムロンのセンシング研究開発センタで画像センシング研究室長を務める川出雅人氏は、「2018年頃に普及し始める自動運転車で、自動→手動を安全に切り替えるためには、“ドライバーに運転権限を戻していいか”を自動車が判断する必要がある」と語る。
同技術は、運転手の状態から「どれくらいの時間で運転に復帰できるか」を基準に「運転復帰レベル」として、リアルタイムに判定する。例えば、運転手が脇見をしている場合は、運転復帰所用時間が約4秒までの「レベル1」(即運転復帰可能)と判定し、手動運転切り替えアナウンスや振動などを通して手動運転に切り替える。
運転手がスマホ操作や飲食などをしていて、運転復帰に約4〜10秒かかる「レベル2」(一定動作の後、復帰可能)と判定した場合は、アナウンスや振動などを通して所定時間内に運転復帰可能と判断されれば、手動運転に切り替える。
パニック状態や居眠りなど、指定時間内での運転復帰が不可能な「レベル3」では、所定時間内に運転復帰不可能ならば緊急停止するといった流れである。運転手の状態にもよるが、処理にかかる時間は「約0.5〜1秒」(川出氏)としている。
同技術は自動車に加えて、工場などにおける作業者の疲労のセンシングや、ヘルスケアにおける人の状態理解などに展開予定。価格やスペックは現在、非公開としている。また、自動車やバスなどで実証実験を行うためのアライアンス先も募集するとした。
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