特別損失は80億円を計上へ
ルネサス エレクトロニクスは2016年6月7日、熊本地区工場の被災などにより発表を見合わせていた2016年12月期第1四半期(4〜6月期※決算期変更のため変則)の業績予想を明らかにした。
4月の熊本地震被災に伴う生産停止で、売上高で140億円、営業利益で80億円相当の機会損失が発生した他、不稼働/低稼働による損失、建物・設備などの固定資産修繕費、たな卸資産の廃棄損などにより、80億円の特別損失を計上する。地震保険収入は10億円を見込み、「第2四半期以降も保険収入は発生する見込み」(ルネサス)。
震災影響以外では、為替影響による54億円の減収、非注力製品撤退に伴う38億円の減収などを見込み、前四半期(2016年3月期第4四半期[2016年1〜3月期])と比べ、228億円減の売上高1450億円(前年同期[2015年4〜6月期]比19.1%減)となると予想した。
営業利益率は6.5%見込みに
営業利益は100億円(同69.1%減)、最終利益は10億円(同96.6%減)を予想。前四半期比、前年同期比ともに減収減益となる見込みだ。
ルネサスでは、2016年12月期末時点で、売り上げ総利益率(粗利率)45%以上、営業利益率2桁パーセントを目指すが、2016年12月期第1四半期は、粗利率40.0%、営業利益率6.9%になる公算となった。
工場は復旧、需要は足元好調だが……
ルネサスは4月に発生した熊本地方での大きな地震により、生産子会社ルネサス セミコンダクタマニュファクチャリングの前工程製造拠点である川尻工場(熊本市南区)と、後工程の一部生産委託先が被災し、一時稼働が停止。川尻工場では、4月22日から一部稼働を再開し、5月22日時点で震災前の生産水準まで復旧させた。後工程生産委託先でも、5月初旬までに一部生産が再開され、「現時点でほぼ復旧している」(ルネサス)。
足元の受注状況について、ルネサス最高財務責任者(CFO)の柴田英利氏は「足元は、堅調に見えるが、震災の反動による可能性もある。足元の強い受注が、今後も続くものなのか、一時的なものなのか、判断は難しい」とした。
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