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インタビュー

すべてのIoTデバイスに「Bluetooth」を製造業×IoT キーマンインタビュー(1/3 ページ)

「IoTのすべてをターゲットにしている」。こう語るのは、今やWi-Fiに並んで、最も普及する無線「Bluetooth」の規格策定団体トップを務めるマーク・パウエル氏だ。2017年初めまでには、IoTをターゲットにした新規格「Bluetooth 5」をリリースすることも発表した。Bluetoothは、乱立するIoT向け無線規格の中で、果たして勝ち抜けるのか? 同氏にIoTに向けたBluetoothの展望を聞いた。

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 産業に革新をもたらすと期待されているIoT。そのIoTの実現に向けて、最も普及している無線通信規格の1つである「Bluetooth」も、大きな1歩を踏み出した。これまでのスマートフォンやPCと、ヘッドセット/マウスなど周辺機器を結ぶ無線から、すべてのモノをつなぐ無線としての規格「Bluetooth 5」を策定し、2016年末〜2017年初めにリリースする。なぜ、BluetoothはIoTに照準を絞り、乱立するIoT向け無線規格の中で勝ち抜けるのか――。Bluetoothの規格策定団体Bluetooth Special Interest Group(SIG)のトップであるエグゼクティブディレクターを務めるマーク・パウエル氏に聞いた。

本連載の趣旨

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ITmedia産業5メディア総力特集「IoTがもたらす製造業の革新」のメイン企画として本連載「製造業×IoT キーマンインタビュー」を実施しています。キーマンたちがどのようにIoTを捉え、どのような取り組みを進めているかを示すことで、共通項や違いを示し、製造業への指針をあぶり出します。
⇒連載のバックナンバーはこちらから


2020年、IoTデバイス450億台のうち、140億台はBluetooth搭載が標的

EE Times Japan(以下、EETJ) Bluetooth4.2に続く、次期バーションBluetooth 5を発表されました。

マーク パウエル氏 Bluetooth 5は、3つの点で、大きくバージョンアップした。1つは、通信速度。2つ目は、通信距離。3つ目は、ブロードキャスト通信の容量拡大だ。

 まず、通信速度は、これまでの最大1Mビット/秒から、最大2Mビット/秒へ2倍高速化される。通信距離は、Bluetooth4.2での見通し約100mから、約400mまで対応できるようにした。

 ビーコンなどの用途向けのブロードキャスト通信は、これまで遅れるデータ量は文字数にして31文字分だったが、これを約8倍の255文字分まで拡大する。これにより、URLなどを送信できるようになる。その結果、Webサイトでペアリングさせるなどのテクノロジーを使うことで、ビーコン用途におけるペアリングレスコネクションが不要となるなどの利点がある。


Bluetooth Special Interest Group エグゼクティブディレクター マーク・パウエル氏

EETJ 通信速度、距離、容量の拡大の意図はどこにあるのですか?

パウエル氏 簡単に言ってしまえば、「3万社を超えるBluetooth SIGのメンバー企業の要望があったから」に尽きる。メンバー企業のほとんどは、最終製品を作る企業であり、そうしたメーカー各社がBluetoothに対し、もっと速い通信、もっと距離の長い通信を求めたからこそ、Bluetooth 5は、こうした仕様になったのだ。

EETJ 無線に対しては、消費電力低減に対する要望も大きいと思いますが。

パウエル氏 もちろん、Bluetooth 5は、消費電力の低減にも貢献する。使用するハードウェアにもよるが、恐らく、これまでのBluetoothと同じ消費電力で、通信速度が2倍になる。すなわち、同じデータ量の通信であれば、通信時間は2分の1になり、その分、消費電力も抑えられるということだ。

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