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中国のパワー市場は発展途上でも、日米欧を猛追SiC/GaNはこれから(1/2 ページ)

中国 上海で開催されたパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Asia 2016」では、地元のIGBTデバイス/モジュールメーカーが目立った。専門家は、中国のパワーエレクトロニクス技術は、欧米や日本にまだ及ばないものの、猛スピードで追い上げているという。

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発展途上の中国パワエレ市場

 パワーエレクトロニクス技術の展示会「PCIM Asia 2016」が、2016年6月28〜30日にかけて中国 上海で開催された。中国メーカーや、海外企業の中国法人を中心に87社が出展し、約5500人が来場した。PCIM Asiaは、毎年5月にドイツ ニュルンベルクで開催される「PCIM Europe」のアジア版である。約500社が出展するPCIM Europeに比べれば規模はだいぶ小さいが、出展社数、来場者数ともに年々増えている展示会だ。

「PCIM Asia 2016」会場の様子(クリックで拡大)

 パワーエレクトロニクス関連の研究開発プロジェクトを進める欧州の団体ECPE(European Center for Power Electronics)のプレジデントを務めるLeo Lorenz博士は、「中国のパワーエレクトロニクス市場は、規模は大きいが、デバイスの技術レベルでみるとまだ発展途上である」との見解を示している。

地元のモジュールメーカーが台頭


ECPEのLeo Lorenz博士。「PCIM Europe 2016」にて撮影

 Lorenz氏は、「現在、中国のパワーエレクトロニクス市場では、地元メーカーが自分たちで何とか品質の高いモジュール、特にIGBTモジュールを作ろうとしている段階だ」と述べる。

 「中国では、地元のIGBTデバイスおよびモジュールメーカーが力を付けてきている」と話すのは、ドイツVincotechの中国法人だ*)。同社は中国で産業機器用モーター駆動、太陽光発電システム、電源という3分野に注力して、主にIGBTモジュールを展開している。Vincotechは、「地元のIGBTモジュールメーカーは、“安さ”を売りにして勢力を拡大しようとしている。IGBTモジュール市場での競争は今後、より一層激しくなっていくだろう。当社は、標準のモジュールだけでなく、顧客の要望に応えやすいカスタマイズに力を入れることで、そうした新しいモジュールメーカーとの差異化を図っている」と続けた。

*)Vincotechは2010年11月に三菱電機に買収されている。

Vincotechが展示したモジュール群(左)。右は、業界標準のパッケージを使用した、中電力インバーター向けのIGBTモジュール。三菱電機の第7世代IGBTを搭載している(クリックで拡大)

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