BMW、Mobileyeと組んだIntelの思惑とは(前編):自動運転車開発で何を担うのか(1/2 ページ)
IntelとBMW Group、Mobileyeは2016年7月、自動運転車の開発で提携すると発表した。この3社におけるIntelの役割とは何なのだろうか。
意外? Intelの参画
BMW GroupとIntel、Mobileyeの3社が2016年7月1日(米国時間)、完全自動運転車の路上での隊列走行を2021年までに実現すべく、提携することを発表した。今後、業界標準の策定と、自動運転車向けオープンプラットフォームの定義の実現を目指し、取り組んでいくという。
業界観測筋の間では、BMWとMobileyeの協業については広く周知されているが、今回の提携メンバーにIntelが入ったのは、意外だったのではないだろうか。
今回の提携によってIntel製品が自動運転車に搭載されることになるのかは、まだ不明だ。仮にそうだとしても、アナリストたちは、「Mobileyeは、自社のアルゴリズムを用心深く守っていることで知られている。このため、同社がそれを喜んで他社と共有するとはとても思えない。ましてや、その相手がIntelであればなおさらのことだ」と、懐疑的な見方をしている。
それでも、自動運転車関連の見積もり依頼が飛び交い、どの自動車メーカーのCEO(最高経営責任者)も四半期決算発表において自動運転車の話題を避けて通ることはできないという状況の中、技術メーカーが注目を集めようと先を急ぐのも無理はないだろう。
自動運転車開発が加速
EE Timesは今回、3社の提携発表を受け、自動車業界のアナリストたちに以下の3点について質問した。
- 今回の発表により、Mobileyeの競合メーカーであるNXP SemiconductorsやNVIDIA、Qualcommなどは、焦りを感じることになるのだろうか
- Mobileyeの既存のパートナー企業であるVolkswagen groupやGE(General Motors)、日産自動車、Tesla Motorsなどは、今回の3社の提携に反発するのだろうか
- それとも、新しい開発体制を冷静に受け止め、うまく対処していくべきなのだろうか
IHS Automotiveのインフォテインメント&ADAS(先進運転支援システム)部門でリサーチディレクターを務めるEgil Juliussen氏は、3つ目の質問について見解を述べている。「このような対応は、非常に道理にかなっているといえる。自動運転車の実現は、極めて難しい課題である。自動車を運転する人間のドライバーを置き換えるには、ディープラーニング(深層学習)技術やセンサーフュージョンなど、数多くの技術が不可欠であるためだ」
同氏は、「技術レベルが高まっていくと、今回の3社のような提携によって物事が前進し、加速していくことになる」と述べる。
BMWとIntel、Mobileyeは、まだ初期の段階にある自動運転車市場を、大きくリードしていきたい考えだ。他の多くの自動車メーカーも、市場参入を目指して競争を繰り広げているが、実際のところ小規模なメーカーにとっては、うまく対処していくための資金を十分に確保することは難しいだろう。
Googleの存在
Juliussen氏は、「Googleの存在もある。Googleの自動運転車は、一部の分野では独走状態にあるため、自動車業界にとって同社は、もはや無視できない存在になっている」と指摘する。
同氏は、「Mobileyeの競合メーカー各社は、今回の提携について懸念を抱いているかもしれないが、自動運転車市場はいまだ、競争になる前の段階にすぎない」と述べる。
Juliussen氏は、「自動運転車の試験や検証のための標準規格がいかに複雑なものになるか、考えてみてほしい」と指摘している。
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