2020年、5nm世代でEUV時代が到来か:まだまだ光源に開発余地残るが(2/2 ページ)
ASMLは2016年4〜6月にEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を4台受注し、2017年には12台を販売する計画を明かした。これを受けて業界では、EUV装置によるチップ量産が、5nmプロセス世代での製造が見込まれる2020年に「始まるかも」との期待感が広がっている。
当面はEUVとDUVの並行使用か
ASMLは2016年4〜6月業績に関するカンファレンスコールの中で、10nm論理プロセスの検証と成長拡大をサポートすべく、顧客向けに測定システム「YieldStar 350E」を数台出荷したことを明らかにしている。また、これとは別に、ArF(フッ化アルゴン)-DUVシステム「NXT:1980i」も23台出荷しているという。同社によれば、最先端プロセスではしばらくの間、DUV装置とEUV装置の両方が並行して使われる見込みだ。
Maire氏は、「ASMLがEUV装置を投入し、最近買収したHermes Microvisionの検査システムを統合することにより、KLA-TencorやLam Researchなど、合併案の渦中にあるライバル企業に関連した問題が生じる可能性がある」と予測している。
同氏は、「ASMLは今後、KLA-Tencorなどの他のプレーヤー企業を完全に締め出すことにより、独自開発したオーバーレイ(重ね合わせ)や測定ソリューションを強力に推進し、確実に統合していくことになる。KLAやLamは、ASMLのEUVの実現とHermes Microvisionの買収を受け、新たな成長の手段を見つけ出すための準備を整える必要がある」と述べる。
トリプルパターニングと同等コストまで到達か
一方、最新のEUV装置は現在のところ、250Wの光源で1時間当たり125枚のウエハーを処理することが求められる量産体制を実現するには至っていない。ASMLで戦略マーケテング担当ディレクタを務めるMichael Lercel氏は、インタビューの中で、「設置したシステムでは、125Wの光源で1時間当たり85枚のウエハーを処理している。当社の研究所では、210Wの光源を使用した装置のデモも行っている」と述べている。
Lercel氏によると、トリプルパターニングのコストを相殺できるレベルまで近づきつつあるという。
また、ASMLは現在、複雑なEUV装置で90%以上の稼働時間(アップタイム)を実現するための取り組みを進めている。今のところ最高の成果として、4週間で80%以上の稼働時間を実現したという。
同氏は、「研究開発段階で使用する場合と量産で使用する場合との、明確な違いを示すことができた」と述べる。
真空状態で1秒当たり5万回のスズドロップレットを供給する光源システムにとって、信頼性を実現することは非常に難しい。ASMLでは、既存のエキシマレーザーよりもはるかに大型で複雑な、新しい光源を使用するという。大きさは冷蔵庫ほどもあり、クリーンルームの周囲環境において稼働するという。
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