ロボット用センサーユニット、荷台をピタリと制御:デモの様子を動画で紹介(1/2 ページ)
パナソニックのオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は、2016年7月19日に発表したロボットの姿勢検出、位置推定を行う「モーションセンシングユニット」の技術説明会を開催した。
ロボット市場の拡大
パナソニックのオートモーティブ&インダストリアルシステムズ社は2016年7月26日、同年7月19日に発表したロボットの姿勢検出、位置推定を行う「モーションセンシングユニット」の技術説明会を開催した。同製品は、シリコンMEMS検出素子を採用したジャイロセンサーと加速度センサーに、独自のアルゴリズム技術を組み合わせたものだ。
インダストリアル事業開発センターのセンシング事業開発部で主幹を務める大森正氏は、「当社は今まで、AVやICT向けにMEMS技術をコアとしたセンサーを提供してきた。これからは、産業分野への展開に注力していきたい」と語る。特に、製造現場の自動化や少子高齢化により、ロボティクス市場の拡大が予想されている。
「2020年に産業ロボットの市場規模は約1.1兆円、サービスロボットは約1.3兆円と予測されている。市場の拡大に伴い、ロボットをより効率的に開発することが求められている。これが、モーションセンシングユニットを開発した背景になる」(大森氏)
各センサーの長所を生かす、独自のアルゴリズムを内蔵
大森氏は、今回の開発技術として2点を挙げる。1つ目は、「検出素子の高精度加工」である。高精度なセンサーを実現するには、検出素子そのものを高精度に加工することが求められる。「10年以上培ってきた高いアスペクト比と低歪の加工技術を持つため、小型で高精度なMEMS検出素子を実現できる」(パナソニック)という。
2つ目は、「異なるセンサーを組み合わせ、最適化するアルゴリズム技術」である。一般的に、ジャイロセンサーは、高速動作時の精度は高いが、時間経過とともに誤差が大きくなるという欠点がある。加速度センサーは、振動の影響を受けやすい欠点があり、高速動作時に精度を確保しにくい。同社は、独自の検出/位置推定アルゴリズムを内蔵したマイクロプロセッサをモーションセンシングユニットに搭載。これにより、各センサーの長所を生かし、正確な状態推定を可能にした。
また、多くのロボットメーカーは、ジャイロセンサーや加速度センサーなどのデバイスを購入し、それらを制御するためのソフトウェアを自社開発している。しかし、高精度な情報を得るためには、ソフトウェア設計に開発期間とコストが多くかかってしまう。
同製品は、応答速度や位置精度など顧客の要望に応じたパラメーター値を設定した状態で提供することも可能。約2カ月かかるロボットの開発期間を軽減できるとした。
大森氏は、「当社の強みは、センサーの特性を熟知した上で、顧客それぞれの用途に応じたモーションセンシングユニットを提供できることだ」と語る。
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