半導体業界の研究開発費、M&Aで減少傾向に?:成熟期に入ったからなのか(1/3 ページ)
2016年に入っても半導体業界におけるM&Aの嵐は止むことなく続いている。これによって懸念されるのが研究開発費の行方だ。
売上高に伴って研究開発費も増加
半導体業界では、これまでの歴史の中でほぼ毎年のように、半導体メーカーの研究開発費が増加し続けてきた。過去25年間において、研究開発費が減少した年が3回だけあった。このうちの2回は2001年と2009年で、実質的に約10%の減少だった。
ムーアの法則を追求し続けていくには非常にコストが掛かるため、半導体メーカーの研究開発費は、半導体売上高と同程度の成長率で増加する傾向にある。半導体業界はこうした点において、業界の成熟に伴って売上高全体に占める研究開発費の割合が減少していく他の業界とは異なっている。このような半導体業界特有の傾向は、今後も続くのだろうか。
これは、半導体業界において過去5年間にわたり、活発な合併買収が行われてきたという背景から生み出された、重要な疑問の1つだといえる。ほとんどの合併買収が、営業経費の削減によって相乗効果を生み出すことができるとの期待に基づいて行われているためだ。
営業経費の削減効果は、平均で約25%減となる。営業経費の削減効果は大抵の場合、研究開発費や一般管理費、マーケティング費用などには割り当てられず、売上高全体に占めるコスト削減費の合計として示される。
相乗効果の実現
相乗効果を実現するには、さまざまな方法がある。営業効率を最も分かりやすく改善する方法としては、CEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)などの企業経営業務の重複を撤廃したり、企業マーケティングや投資家向け広報活動、宣伝活動などのさまざまな機能を統合するといった手法がある。この他にも、営業経費を削減するには、効率が悪く戦略的にも劣る事業部門を、スピンオフによって廃止することで、売上高全体に占める営業経費の割合を削減するという方法もある。その良い例として挙げられるのが、Avago Technologies(現Broadcom)によるLSI社の買収だ。
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