我々が求めるAIとは、碁を打ち、猫の写真を探すものではない:Over the AI ――AIの向こう側に(2)(8/9 ページ)
ちまたには「人工知能」という言葉が氾濫しています。ですが、明言しましょう。「人工知能」という技術は存在しません。そして、私たちがイメージする通りの「人工知能」の実現も、恐らくはまだまだ先になるでしょう。
(2)評判抽出
(どういうアルゴリズムで実現しているのか、私には皆目検討もつきませんが)この機能は、良いイメージで語られる言葉と、悪いイメージで語られる言葉を発見します。
例えば、「消滅」という言葉は、コラム前半の次のフレーズで使われています。
『“IoT”と同様に、今、まさにブームの真っ最中であることは明確なのですが、完全に消滅することなく、緩慢な周期性が観測されます』
このフレーズは、全体としてはポジティブな意味で、そのフレーズの中で「消滅」という言葉が使われていることが分かります。
一方、「後輩」という言葉は、
『あの無礼な後輩は、携帯電話から続けました』
というように、ネガティブなフレーズで使われていることが確認されます。
「人工知能」という言葉が、ネガティブなフレーズの中で使われまくっていることは、今さら確認するまでもないでしょう。
つまり、あなたは、このコラムの前半を一行も読まなくても、「この著者は『人工知能、死ねばいいのに』と思っている」ことが看破されてしまうのです(もちろん、誤解ですよ)。
(3)ことばネットワーク
そして、私が乱用……もとい、頻用しているのが、この「ことばネットワーク」機能です。
これは、属性と言葉や、言葉同士の関連性の強さをネットワーク図で図示します。単語同士のかかり受け関係や、同じタイミングで登場していることばの確率を視覚化でき、さらに、関連の強いものどうしで、クラスタを作ることもできます。
本コラムの前半が「人工知能」「希望と絶望」「通信と会話」「ナンシー」「ブーム」「猫、将棋、囲碁」について言及されていることが、一目で理解できます。
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