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AirPodsのキーデバイス? NXPがNFMI対応SoC発表左右のイヤフォンを無線化するNFMI(1/2 ページ)

Appleは、左右のイヤフォンをつなぐケーブルがない新たなワイヤレスイヤフォン「AirPods」を発表した。くしくも、同じタイミングでNXP Semiconductorsが左右のイヤフォンをワイヤレス化するのに適したNFMI(近距離磁界誘導)対応SoCを発表した――。

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NFMI(Near Field Magnetic Induction/近距離磁界誘導)

 iPhone 7の発表とともに、NFMI(Near Field Magnetic Induction/近距離磁界誘導)を採用したワイヤレスイヤフォン「AirPods」が発表された。AirPodsには、Bluetooth対応ヘッドセット用の左右のイヤフォンをつなぐコードがない。NXP Semiconductorsは、iPhone 7の市場投入と時を同じくして、Bluetooth非対応のイヤフォンをサポート可能な最先端のNFMI対応SoC(System On Chip)「NxH2280」を発表している。英国の市場調査会社であるWiFore Consultingによると、イヤフォン市場は2020年までに、300億米ドル規模に成長する見込みだという。


「iPhone 7」と同時に発表されたワイヤレスイヤフォン「AirPods」

低消費電力は、Bluetooth対応デバイスの10分の1

 NXPでプロダクトマネジャーを務めるPieter Verschueren氏は、EE Timesのインタビューに対し、「当社がNFMI技術を開発したのは10年前のことだが、現在になってこの技術を、台頭しつつある巨大なヒアラブル(=耳に装着する機器)市場に向けた第2世代のNxH2280チップで採用することができた。このNxH2280チップは、ARM Cortex-M0やオーディオDSP、オーディオコーデック、遅延コントローラー、サンプルレートコンバーター、タイマー、不揮発性メモリ、各種I/O、磁気誘導トランシーバーなどを搭載する」と述べている。


NxH2280は、Cortex M0、DSP、オーディオコーデック、オーディオレイテンシコントローラー、オーディオサンプルレートコンバーター、タイマー、不揮発性メモリ、I/O、磁気誘導トランシーバーを搭載したダイに、第2世代のNFMI SoCを集積している 出典:NXP Semiconductors

 NxH2280は、10.4mm2の小型化を実現し、10.6MHzで動作する。消費電力量は、同レベルの低消費電力Bluetooth対応デバイスの10分の1だという。また、Bluetooth無線に関しては、電子レンジと同じ2.4GHz周波数で動作するため、人体組織を徐々に損傷するとの批判があるが、NxH2280の場合、人体組織によって吸収される信号の量は、Bluetoothの1万分の1だという。

通信範囲は1mに制限されるが……

 NFMIの主要な欠点は、対応範囲が1m程度に制限されるため、主要用途が左右のイヤフォンの接続に限られるという点だ。NXPは、「Bluetooth非対応の音楽再生デバイスの場合には、ARM Cortex-M0とDSP、オーディオシグナルプロセッサを用いて、MP3プレーヤーを1個のイヤフォンに接続して管理することができるため、ユーザーの頭部から1m未満の範囲内であれば、スマートフォンでの使用も可能だ」としている。

 NXPの広報担当者は、「AppleのiPhone 7発表後は、ワイヤレスイヤフォンの使用が大幅に増加していくだろう。現在市場に出回っているワイヤレスイヤフォンの多くは、スマートフォンとの接続をBluetoothに依存している。しかしBluetoothは、左右のイヤフォンに個別にオーディオをストリーミングすることができないため、イヤフォン間を接続するコードが必要だ。ドイツのメーカーBraggiのイヤフォン『The Dash』のような、完全にワイヤレスのイヤフォンは、NFMI技術を活用して両耳の間をワイヤレス接続することにより、1組のイヤフォンを1台のヘッドセットとして機能させることができる」と述べている。

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