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IoTは、生産性向上と価値創出の1丁目1番地ダスト・コンソーシアム発表会(1/2 ページ)

リニアテクノロジーは、「第3回ダスト・コンソーシアム発表会」を開催した。IoT(モノのインターネット)が創り出す、新たな社会や産業の変化に関する基調講演や、最新の採用事例などが発表された。

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IoTは「1丁目1番地」

 リニアテクノロジーは2016年10月27日、東京都内で「第3回ダスト・コンソーシアム発表会」を開催した。IoT(モノのインターネット)が創り出す、新たな社会や産業の変化に関する基調講演や、最新の採用事例などが発表された。本稿では、東京大学先端科学技術研究センターの森川博之教授による基調講演を中心にその概要を紹介する。

 ダスト・コンソーシアムは、無線センサーネットワーク技術「dust networks(ダスト・ネットワークス)」の普及を目的として、リニアテクノロジーが2014年10月に設立した。ダスト・ネットワークスは、IEEE802.15.4準拠の物理層を用いた2.4GHz帯センサーネットワーク向け無線技術である。


ダスト・コンソーシアムの事務局長を務める小林純一氏

 発表会では冒頭、リニアテクノロジーのダスト・エバンジェリストで、ダスト・コンソーシアムの事務局長を務める小林純一氏があいさつ。トヨタ自動車が先ごろ行った講演内容の一部を引用しつつ、「工場でIoTを活用しようとすると、多くのポイントから同時にデータを送受信することが必要となり、ワイヤレス通信技術が課題となる。この課題を解決できるのがダスト・ネットワークスである。接続信頼性、長期安定性、長期電池駆動、セキュリティ、そして設置の容易さ。これら重要な5項目をカバーしている」と述べた。

アナログプロセスのデジタル化


東京大学先端科学技術研究センターの森川博之教授

 続いて、東京大学先端科学技術研究センターの森川博之教授が、「デジタルが社会・経済・産業・ビジネスを変える」をテーマに基調講演した。「IoTはバズワードとなった。定義は明確になっていないが、アナログプロセスのデジタル化だと考えている。IoTは今や、全ての産業セグメントの人が興味を示している。やっと本物になり始めた。何をやればいいのかは分からないが、そのニーズは現場にある」と話す。

 そのスタンスも変化しているという。「従来は、システム部門がコスト削減のためにIT/ICTを活用し始めた。IoTが登場して、価値を創り出すツールだと認識する経営者が増えている」と語る。

 アナログプロセスのデジタル化については、いくつかの事例を紹介した。その1つが笑った分だけ料金を支払う「コメディ劇場」である。「お笑い」というアナログ量をデジタル化する仕組みを取り入れた。全ての座席にタブレット端末が設置され、カメラで客の顔認識を行い、笑った回数だけ決められた料金を支払うシステムである。ネガティブに考えると客が笑わなくなるというデメリットもあるが、「IoTは取りあえず実行してみて、走りながら考えることも重要」という。


デジタル化が浸透している事例 (クリックで拡大) 出典:東京大学

 これ以外にも、デジタル化が浸透している事例として、風力発電や農業などの用途を紹介した。特に、成功事例として取り上げたのが、バスケットやアメリカンフットボール、野球などのスポーツ中継である。コートの天井や上部に映像カメラを取り付け、撮影したデータから選手の運動量などを算出し、データとしてウェブ上に公開する。「若い人のファン層拡大が目的でデータをオープンにした。これにより、若い人のTV視聴率が高まり、広告収入も3倍に増える結果となった」という。

 森川氏は、「デジタル化の目的は、生産性向上と価値創出である」と主張する。その一つとして、「バスの運行管理」や「古紙回収」の事例を紹介した。バス停や古紙回収箱に、位置情報や人数/数量を検知できるセンサーなどを取り付け、そのデータをリアルタイムに収集し解析する。これによって、効率の良いバス運行や古紙回収を実現し、収益性を高めることができた事例である。

左がバス運行管理の事例、右は古紙回収の事例 (クリックで拡大) 出典:東京大学

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