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半導体産業のイノベーションには“多様性”が必要インテル江田氏が語る(1/2 ページ)

インテル社長の江田麻季子氏は、「SEMICON Japan 2016」(2016年12月14〜16日/東京ビッグサイト)の開催に向けて行われた記者会見で、半導体産業の人材育成について講演を行った。

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創造力を生むのに必要な「多様性」

 SEMIジャパンは2016年12月13日、同年12月14〜16日に東京ビッグサイトで開催されている「SEMICON Japan 2016」に向けて記者会見を開催した。会見では、インテル社長の江田麻季子氏が「半導体産業の人材育成」と題して講演した。江田氏は「多様性が、次のイノベーションへ重要な要素になる」と指摘する。


江田麻季子氏

 東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年、1日に使用されるデータ量は現在の1Gバイト(GB)以下から、1人当たり1.5GBになる見込みだ。自動運転車は1日当たり4000GB、スマート化した工場では1日当たり100万GBといわれている。つまり、膨大なデータを活用する社会が到来し、半導体産業が飛躍する多くの機会が訪れるという。

 このような市場の変化が訪れる中で、江田氏は「ビッグデータをどう活用するか、セキュリティの保護、ユーザー体験など全て重要だ。しかし、強調して提言しなければならないのは“社員の創造力”ではないかと思っている」と語る。

 社員の創造力を生むために必要なのが「人材の多様性」とする。同じような仕事を続けてきた人が集まる組織では、生まれるアイデアの幅に限界がある。いかに違った視点を会社に取り入れるか、そこが将来のイノベーションにつながるという。

多様性は業績に良い影響を与える

 江田氏は、多様性を持つことはCSR(社会的責任)としての意味合いではなく、業績に良い影響を与えることが研究結果で示されていることも強調する。例えば、人種の多様性レベルの違いで売り上げに最大15倍の差が出ること、男性チームに女性を加えると個々の能力のインパクトより40%大きくなることを挙げた(下記図を参照)。


多様性を受け入れることが業績に良い影響を与えるという (クリックで拡大)

 Intelでは、CEO(最高経営責任者)のBrian Krzanich氏が「十分な多様性を受け入れている職場は、われわれの革新性とビジネスの成功を実現するための基盤となる」といった信念を掲げている。多様性における2020年目標を設定し、女性や人種的な少数派のエンジニア雇用などに対して、3億米ドルの投資を行う見込みだ。

 これまでにも、2014年12月以降から女性やアフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系、ネイティブ・アメリカンの従業員比率を拡大し、その比率は43.4%に到達。また、バイスプレジデント以上の女性と人種的少数派の割合も上昇したとする。

 「2016年のグローバル性別格差指数において、日本は過去最低の111位となった。教育、健康レベルでは全く差がない。差があるのは、就労率と政治分野への参加である。IoTの時代となり、新しいビジネスが多くの産業から生まれようとしている。それに伴い、多様性を受け入れる文化を、皆さんと一緒に作っていきたい」(江田氏)

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