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車載ビジョン市場における競争が加速Mobileyeの対抗馬を狙う(1/2 ページ)

イメージセンサーやビジョンSoC、センサーフュージョンなど、ADAS(先進運転支援システム)向け技術開発における競争が加速している。

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Mobileyeがけん引する市場

 最も活気がある車載用ビジョン市場において、現在トップの座を確保しているのは、Mobileyeである。このため競合他社は、「Mobileyeに対抗できるソリューションを開発した」と発表できることを目指し、取り組みを進めている。

 その野心はさておき、どの競合企業も、少なくとも今のところ、信頼性のあるソリューションを独自開発するには至っていない。

 それでも、可能性を秘めた幾つかの競合企業が、挑戦するための準備を整えたようだ。米国ラスベガスで2017年1月5〜8日に開催された「CES 2017」では、MediaTekやルネサス エレクトロニクス、NXP Semiconductors、Ambarellaなどのさまざまな企業が、Mobileyeの「EyeQ」チップを置き換える製品の開発に取り組んでいることを明らかにした。On SemiconductorはCES 2017の初日に、「当社のADAS(先進運転支援システム)製品シリーズ向けとして、CEVAのイメージング/ビジョンプラットフォームのライセンス供与を受けた」と発表している。

 EE Timesが、「次にMobileyeの地位を獲得する可能性があるのはどの企業か。そのためには何が必要か」と問いかけたところ、さまざまな業界アナリストやプレイヤー企業が、それぞれ異なる見解を示した。「戦いは既に終わっている」とする意見もあれば、「市場はまだ門戸を広く開放している」とする主張もある。

 例えば、フランスの市場調査会社であるYole Développementでイメージング/センサー担当アクティビティリーダーを務めるPierre Cambou氏は、「イメージプロセッサメーカーがMobileyeに追い付くのは不可能だ。現在既に、かなり明確にエコシステムが定義されているため、手遅れだといえる」と述べ、最も悲観的な見方を示した。

 一方、米国の市場調査会社であるThe Linley Groupでシニアアナリストを務めるMike Demler氏は、「さまざまなチャンスが存在し、競合企業の数も多い。実現が困難な自動運転レベル3、4、5のシステム開発に注目が集まる傾向にあるが、現在はまだ、レベル2の導入の初期段階にすぎない」と述べる。

 CEVAのCEO(最高経営責任者)であるGideon Wertheizer氏も、「ビジョンSoC(System on Chip)メーカーにとっては、特にADASや車載ビジョンソリューション(ドライバーモニタリングなど)の分野において、競争の余地が大いにあると確信している。イメージセンサーは、何もしなければ汎用化が進んでしまうため、センサーメーカーは、さらなるスマート化を実現し、ビジョンSoC機能を搭載することにより、収益の大きいビジネスを展開できる可能性がある」と主張する。


車載イメージング市場の内訳。2021年には、1個の車載イメージングユニットのコストのうち約30%が外付けプロセッサとなっている 出典:Yole Développement

 ここで、ビジョンSoCをめぐる競争についてさらなる分析を行う前に、まずは車載用イメージング市場をセグメントに分けると分かりやすいだろう。

 Wertheizer氏が指摘しているように、同市場には、「イメージセンサー(イメージングセンサーデータを生成)」「ビジョンSoC(緊急自動ブレーキ(AEB)や車線逸脱警告などの機能を提供)」「センサーフュージョン」の3つの分野がある。

 これら3つの分野の中で、最も競争が激化する可能性があるのが、センサーフュージョン市場だ。センサーフュージョンチップは、主にレベル4とレベル5の自動運転車向けに開発され、高性能マルチコアアーキテクチャをベースとしている。「センサーフュージョンチップは、高性能なプロセッサ(IntelやNVIDIAのプロセッサのような)と組み合わせることで、AI(人工知能)をベースにした経路形成を行えるようになる」(Wertheizer氏)

 Wertheizer氏によれば、この分野では、まだ業界標準や業界での合意がない、“手つかずの領域”があるという。

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