60周年迎えるTEジャパンの2017年戦略を聞く:タイコ エレクトロニクス ジャパン 社長 上野康之氏(1/3 ページ)
電子部品大手のTE Connectivityの日本法人・タイコ エレクトロニクス ジャパン(以下、TEジャパン)の社長を務める上野康之氏に2017年の事業戦略を聞いた。
自動車向けが引っ張る
コネクターを主力とする電子部品大手メーカーであるTE Connectivityの日本法人・タイコ エレクトロニクス ジャパン(以下、TEジャパン)は2017年に、設立60周年を迎える。国内電子部品業界では最も古くから外資系企業の日本法人として事業を展開し、日本市場に定着する同社。近年も、継続強化してきた自動車向け事業を中心に事業成長を果たしている。TEジャパン社長の上野康之氏に大きな節目を迎える2017年の事業戦略を中心にインタビューした。
民生/産業向けも復調傾向に
EE Times Japan(以下、EETJ) 足元の業績について教えてください。
上野康之氏 2016年の業績を振り返ると、自動車向け事業は、前年比6〜7%の増収となった模様だ。目標としている市場平均の2倍の成長率を達成できたと思っている。
一方で、民生/通信市場向け、産業市場向けは前年を下回る展開となり、TEジャパンとしての売上高は1%程度の成長と、ほぼトントンに落ち着いた。
利益面については、全社的にビジネスコスト削減に取り組んだことが功を奏しており、利益率は上昇している。
EETJ 2017年の見通しは、いかがでしょうか。
上野氏 産業向けは、足元、半導体製造装置をはじめ、産業ロボットやIoT(モノのインターネット)といったアプリケーション向けに設備投資が増えており、持ち直してきている。家電やメディカル、航空宇宙といった用途向けもある一定レベルの需要を見込んでいる。
昨年、産業、民生/通信市場向けは苦戦したわけだが、各市場のキープレイヤーとのリレーションはしっかりと構築できている。決して、悲観するような状況ではない。
コネクテッド化で追い風
EETJ 自動車向けについては?
上野氏 自動車向けについては、引き続き、安定した成長を見込んでいる。
自動運転の実現に向けて、各自動車メーカーの取り組みはより活発になっている。例えば、ある自動車メーカーはテレマティックス機能を2020年頃までに全車に搭載することを決めた。他の自動車メーカーも“コネクテッドカー”に向けて取り組みを実施しており、アンテナやコネクターなど需要は拡大する。
また次世代型の電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の開発も盛んで、モーターやバッテリー向けの新しい技術を必要としている。自動車向けに限っては、少なくとも今後5年ほどは順調に市場は拡大するだろう。
EETJ 自動車におけるコネクター需要はどのように増加すると見ていますか。
上野氏 車とインフラ、車と車、車と人というように、車はさまざまなものとつながろうとしている。車内をみても、多くのカメラ、レーダーをつなげる必要が生じており、接続箇所は相当に増えていくことになる。自動車の電子化は、年平均4%程度、高級車に限れば年平均6%程度の伸長率で進むと予測され、接続部品も同様の成長を遂げるだろう。ただし、ワイヤレスで接続される部分もあり、全てがコネクターの需要となるわけではない。
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