抹殺する人工知能 〜 生存競争と自然淘汰で、最適解にたどりつく:Over the AI ―― AIの向こう側に (7)(3/13 ページ)
“人工知能技術”の1つに、生物の進化のプロセスを用いて最適解へと導く「遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)」があります。25年ほど前に私が狂ったようにのめり込んだ技術なのですが、世界的にもファンがたくさんいるようです。そして、このGAこそが、私たちがイメージする“人工知能”に最も近いものではないかと思うのです。
大統領選予測、ついに定式化に成功
まず、米国の1つの州における、得票投票率50%のクリントンさん*)と民主党の選挙人の平均値(平均人数)と分散は、以下のようになります。ここでは、選挙人数3人のアラスカ州を例にしてみましょう*)。
*)なぜ「トランプさん」ではなく、「クリントンさん」としているかというと、特に理由はありません。
実際は、各州の選挙人は総取りなので、「3人」か「0人」のどちらかになるのですが、ここでは、各州の確率と分散の値を求めることが目的なのです。
さて、これを全米に展開するにはどうしたら良いかというと、これが、びっくり仰天なのですが、上記の各州の人口と選挙人数から、単一項の二項分布確率を求めて(「エクセル」の標準関数BINOM.DIST()を使えば十分)、平均と分散を足し算をすれば足りるのです*)。
*)平均の加法性は直感的に理解できると思いますが、分散の加法性がなかなか頭に入ってこない方は(私も入ってこなかった)、こちらに良い解説があります。
この計算結果は、江端の「力任せシミュレーション(14時間)」と、gauraさんの「二項分布を利用した超高速化シミュレーション(59秒)」の数値結果の両方とドンピシャとなり、シミュレーションと定式化(論理解)の正しさを相互に証明していることになると思います*)。
*)この内容を読んだ後で、「そんなことは、最初から気がついていたさ」などと言い出す(不愉快な)奴が出てくるハズです。そのような人は、この連載の掲載前に、この「合衆国選挙の選挙人制度の問題(分散と感度)」を提起してたことと、この「論理解」を示していたことの両方の証拠を沿えて、その旨を主張してください。
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