国内も積極展開を進めるLGの有機ELサイネージ:4つの新製品を発表
LGエレクトロニクス・ジャパンは2017年2月2日、有機ELデジタルサイネージの新製品説明会を都内で開催した。同社の斎藤秀稔実氏は「日本市場への積極参入を図る」と語る。
「高級感あふれるデザインを」
LGエレクトロニクス・ジャパンは2017年2月2日、有機ELデジタルサイネージの新製品説明会を都内で開催した。1つ目は、同年3月から順次世界展開を予定している「In-Glass Wallpaper」である。
In-Glass Wallpaperは、3枚のガラスの間に、2枚の有機ELパネルを埋め込んだ構成になっている。全体の厚さは13mmと薄い。2枚の有機ELパネルは裏側同士を貼りつけているので、デジタルサイネージとしては、2つのディスプレイに表裏別々の映像を表示できるようになっている。同社デジタルサイネージ事業推進室長の斎藤秀稔実氏は「高級感あふれるデザインを意識した」と語り、高級ブランドショーケースなどで用途を見込むという。
2つ目は、有機ELパネル2枚を貼り合わせた「Dual-view-Flat」である。設置場所により天吊り型、床置き型、ウォールマウント型の3種類を用意している。3つ目の「Wallpaper」は、壁掛け用途として壁紙のように設置可能だ。取り付け用の金具を含めても厚さは3.65mm。曲面使用は不可だが、とにかく薄く壁に貼っているように見えた。
4つ目は、曲面での使用が可能な「Fixed Curved Open Frame」である。複数のパネルを組み合わせた大型化が可能で、2016年7月に大日本印刷(DNP)に納入したことを発表しており、24(4×6)枚並べてアーチ状に形成したサイネージを展示した(有機EL曲面デジタルサイネージ、DNPが導入)。最大曲率は短辺が1500R、長辺が2000Rである。柱に巻き付ける場合は、縦置きで直径3m、横置きで直径4mまで可能という。
いずれの製品も同じ55型でアスペクト比が16:9の有機ELパネルを採用。解像度は1920×1080画素(フルHD)、輝度は400cd/m2となっている。輝度半減までの寿命は3万時間。焼き付きの問題があるため1日18時間までの動作、動画での運用が必要となる。
同社IT&ID Salesパートで専任部長を務める尾崎孝之氏は、有機ELと液晶パネルの表示ディスプレイ比較について「例えば55型のディスプレイの場合、液晶パネルは厚さ18mm、重さ15kgなのに対して、有機ELパネルは厚さ0.97mm、重さ1.9kgであること。他にも、応答速度が速いことやフレキシブルなのが特長として挙げられる」と語る。寿命やコスト、材料が湿気に弱く封止が必要なことから生じるベゼル(非表示)部分が、今後の課題とした。コストに関しては「設置条件にもよるが、液晶パネルと比較して約1.3〜1.5倍」(尾崎氏)と語る。
国内でも本格展開を
LGエレクトロニクスはこれまで、2015年11月にソウル仁川国際空港に「世界初」(斎藤氏)の有機ELサイネージ、同年12月にもソウル南山タワーへ導入している。世界で3番目、国内初としてDNP五反田ビルのショールームに設置した。斎藤氏は「グループ会社のLG CNSや、システムインテグレーター(SI)とともに、デザインからシステムの構築、運営までトータルソリューションとして提供できることが強み」と語る。
IHSの調査によると、2015年全体と2016年第1〜3四半期におけるデジタルサイネージ世界市場の比較では、同社のシェアは15.7%から19.3%へと拡大。斎藤氏は「日本のシェアはまだ低いが、日本市場へも積極的な参入を進める」とした。なお、2017年3月から世界展開予定のIn-Glass Wallpaper以外は、既に受注活動を開始している。
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