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コラム

Infineonが5000ユーロを寄付した団体とは知的障害がある人をスポーツで支援(1/3 ページ)

Infineon Technologiesの日本法人、インフィニオン テクノロジーズ ジャパンは、CSR活動の一環として「スペシャルオリンピックス日本」という団体に5000ユーロ(約62万円)を寄付した。同団体の理事長を務めているのは、オリンピック陸上女子マラソンでメダルを2度獲得した有森裕子さんだ。スペシャルオリンピックス日本とは、どのような団体で、どのような活動をしているのか。寄付金の贈呈式で有森さんが語った。

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ケネディ大統領の妹が設立した「スペシャルオリンピックス」

 Infineon Technologiesの日本法人、インフィニオン テクノロジーズ ジャパン(以下、インフィニオン)から、同社のCSR活動について以下のようなプレスリリースを受け取ったのは、2017年6月下旬のことだった。

 「Infineon Technologiesの社内表彰で、日本法人のプロジェクトチームが特別賞を受賞しました。日本法人は、特別賞の賞金である5000ユーロ(約62万円)を、スペシャルオリンピックス日本に寄付することを決定致しました」

 「スペシャルオリンピックス?」と、疑問に思われた方も多いかもしれない。筆者も、インフィニオンからのリリースで、「スペシャルオリンピックス」なるものがあるということを初めて知った。

 スペシャルオリンピックスは、知的障害がある人たちに継続的なスポーツトレーニングを提供し、その成果を発表する場として競技会を開催することを目的に活動する団体だ。設立されたのは1968年。米国の故ケネディ大統領の妹であるユニス・ケネディ・シュライバーが自宅の庭を開放し、知的障害がある人々がスポーツできる場として提供したことが、団体設立の起源である。現在、170カ国以上で、470万人のアスリート*)、100万人のボランティアが参加していて、世界規模で活動が行われている。

*)スペシャルオリンピックスは、活動に参加している知的障害がある人たちを、「アスリート」と呼んでいる。

 日本での活動は、公益財団法人である「スペシャルオリンピックス日本(以下、SON)」を1994年に設立して活動を開始し、約8000人のアスリートが参加している。SONの理事長を務めているのが、元マラソン選手の有森裕子さんだ。1992年のバルセロナ五輪で銀メダル、1996年のアトランタ五輪で銅メダルを獲得した、あの有森さんである。

 インフィニオンは2017年6月30日、寄付金の贈呈式を本社(東京都品川区)で開催。SONの代表として有森さんが出席し、寄付金を受け取った。


寄付金の贈呈式にて。写真右からSONの理事長を務める有森裕子さん、インフィニオン オートモーティブ事業部の神戸肇氏、インフィニオン社長の森康明氏、オートモーティブ事業部の大場尚志氏、村井寛志氏。大場氏と村井氏は、特別賞を受賞したプロジェクトの中心的なメンバーだ

周囲の人の固定観念で、人生が決まってしまう

 有森さんが、SONの理事長に就任したのは2008年のことだ。その時、一番驚いたのが「知的障害がある人たちは、スポーツをさせてもらえる環境になかった」ことだったという。「知的障害のある人たちは、家族や施設の従業員など、周囲の人間が知的障害に対して持っている固定観念によって生き方が決まってしまう」と、有森さんは語る。

 一例を紹介したい。有森さんのフルマラソンの自己ベストは2時間26分だ。スペシャルオリンピックスのフルマラソン競技の世界記録保持者は、長らく日本人男性だったそうだ。では、彼の記録はどれくらいだったのだろうか。皆さんは、どのくらいだと思いますか?

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