NTT、小型で低損失の光変調器を開発:変調効率は従来の約10倍(1/2 ページ)
NTTは、シリコンフォトニクス技術を用いた光変換器に、インジウムリン(InP)系化合物半導体を融合した、小型、低消費電力で低損失の光変調器を開発した。
InP系とシリコンの異種材料を融合
NTTは2017年7月、シリコンフォトニクス技術を用いた光変換器にインジウムリン(InP)系化合物半導体を融合した、小型、低消費電力で低損失の光変調器を開発したと発表した。
光通信用ICの材料は、主にInP系化合物半導体などが用いられている。最近では、生産性などの観点から、シリコンフォトニクス技術を用いたマッハツェンダー光変調器(MZM)の開発や量産が検討されているという。ところが、シリコンはInP系化合物半導体などに比べて光変調には不向きで、「変調効率を高くすると吸収損失が増加する」という課題があった。
NTTは今回、シリコンフォトニクス技術にInP系化合物半導体とシリコンの異種材料融合技術を適用した「キャリア蓄積型」MZMを開発し、これまでの課題を解決することができたという。
開発した光変換器は、n型シリコンに比べて有効質量が小さく、大きな屈折率変化を得ることができるn型InGaAsP(インジウム・ガリウム・ヒ素・リン)薄膜を用いた。In、Ga、As、Pの組成比を変えることでバンドギャップを調整できる。バンドギャップを適切に選択すれば、屈折率変化が大きく損失増加の少ない特性を得ることが可能となる。
シリコンとInGaAsPの膜厚も、それぞれ110nmと100nmに制御するなど最適化を行った。また、位相変調領域へ光をスムーズに入出力させるため、80μm長の2段階テーパ構造とし、シリコン細線導波路と位相変調領域間の伝搬モードを変換した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.