Wi-Fiとセルラーは今後も補完的な関係が続く:良好な接続性を維持するために(1/2 ページ)
Wi-Fi Allianceは2017年7月26日に東京都内で記者説明会を開催した。Wi-Fi市場は堅調に拡大していて、今後も基本的には高速、大容量通信という、セルラーと同様の方向で進化を続けるという。ただし、「Wi-Fiは、セルラー通信の接続性を維持するためには欠かせない」と、セルラー通信とこれからも補完的な関係を保っていくと強調した。
80億台のデバイスが使用されている
「いつでもどこでも、誰とでもつながることが、Wi-Fi Allianceのビジョンだ」――。2017年7月26日に東京都内で開催されたWi-Fi Allianceの記者説明会の冒頭、同団体のマーケティング担当バイスプレジデントを務めるKevin Robinson氏は、このように語った。
Robinson氏は、「このビジョンを実現するためにWi-Fi Allianceは技術(規格)を定期的に進化させ、16年間にわたる継続的なイノベーションを行ってきた。IEEE 802.11nから現在主流になっている802.11ac、そして次世代の802.11axおよび802.11ad(WiGig)といった具合だ。その結果、Wi-Fiは、個人のモバイル端末を無線ネットワークに接続する技術としては、最も成功している1つとなった」と述べる。
Wi-Fiに接続されるデバイスの数は80億台に上る。世界人口(2016年のデータで74億人)よりも多いのだ。Robinson氏によれば、画像や動画、メールといったインターネットトラフィックの半分以上がWi-Fiのネットワークによってやりとりされているという。
Wi-Fiチップセットおよびデバイスの出荷数は、今後も堅調に増える見込みで、2021年までの累計出荷数はWi-Fiチップセットが40億個、Wi-Fiデバイスが320億台以上に上るとみられている。
Robinson氏は、Wi-Fi Allianceにとって日本は非常に重要な市場だと強調する。Wi-Fi Allianceには、111の国内企業がメンバーとして参画している。さらに総務省は、観光客の増加や東京五輪の開催を見据え、2020年までにWi-Fiスポットを約3万カ所、全国に設置する予定だ。
MU-MIMOやミリ波も既に導入
5Gの実用化に向けて研究開発が進んでいるが、Robinson氏は「Wi-Fiでは、5Gで求められているネットワーク要件を既に満たしているものもある」と述べる。例えば、802.11acの認証プログラムである「Wi-Fi CERTIFIED ac」では、マルチギガビットの転送速度を実現している他、下りではMU-MIMO(マルチユーザーMIMO)が導入されている。さらに、802.11adの認証プログラム「Wi-Fi CERTIFIED WiGig」では、60GHz帯とミリ波を使う技術を既に確立していて、マルチギガビット転送や低遅延を実現できるとする。Robinson氏は「Wi-Fiは、5Gに求められる通信技術を、2020年まで待たなくても今、実現できる」と自信を示す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.