デンソー、自動運転の判断を担う新プロセッサ開発へ:子会社設立し、IPを販売へ(1/2 ページ)
デンソーは2017年8月8日、自動運転システムに向けた新しいプロセッサを開発する子会社を設立すると発表した。CPUやGPUといったプロセッサとは異なる新しいプロセッサを開発し、半導体IPとして広くライセンス販売する計画。
2020年代前半に市販車への搭載目指す
デンソーは2017年8月8日、自動運転車の振る舞いを決める処理に最適な新しいプロセッサを開発し、半導体IP(設計資産)として半導体メーカーに販売することを目的にした新会社を設立すると発表した。新会社は新プロセッサIPを広く半導体メーカーにライセンス供与し、2020年代前半に発売される市販車への搭載を目指す。
デンソーが2017年9月に設立する子会社「エヌエスアイテクス(NSITEXE)」で開発するのは、自動運転用半導体のキー技術と位置付ける新しいプロセッサ。既存のCPUやGPUといったプロセッサとはアーキテクチャの異なるプロセッサで「Data Flow Processor(データフロープロセッサ)/DFP」と呼ぶ。
GPUやCPUの弱点を補うプロセッサとして共存へ
デンソーでは、人に成り代わりクルマを運転する自動運転システムでは、クルマの周辺の状況を検知する「知覚」、周辺状況を把握する「認知」、最適なクルマの振る舞いを決定する「判断」、決定した振る舞いを行う「操作」という4つの処理が必要になるとする。そのうち、知覚についてはセンサーが、操作についてはマイコンなど従来型半導体、エレクトロニクス技術が担うとする。また画像認識などの認知処理については「同一処理を並列、大量に処理することが得意なGPUなどが適している」(デンソー エグゼクティブ・アドバイザーで新会社 社長に就任予定の新見幸秀氏)。
一方で、知覚、認知に基づき、走行経路などを決める判断処理については、「人の反射動作のような処理が必要。判断系の処理は、CPUやGPUが不得意なところでありデンソーが埋める」との考えで、判断処理に最適な新プロセッサとしてDFPを開発し、広く半導体メーカーにIPとして提供することを目指す。そのため、新見氏は「DFPは、NVIDIAのGPUやIntelのCPU、(共同開発を進める)東芝の(画像認識プロセッサ)Viscontiなどと競合するものではなく、共存するもの」と言い切る。
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