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新材料「二酸化ハフニウム」における強誘電性の発見福田昭のストレージ通信(69) 強誘電体メモリの再発見(13)(1/2 ページ)

今回は、強誘電体の二酸化ハフニウムを作製する2つの方法と、二酸化ハフニウムが誘電体としての性質を大きく変化させる原因について解説する。

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二酸化ハフニウムにおける強誘電性の兆候は日本人が発見

 前回までは、ペロブスカイト材料に代表される従来型の強誘電体材料を主に取り上げてきた。今回以降は、新材料である二酸化ハフニウム(HfO2)系化合物とそのメモリ応用について解説していこう。

 二酸化ハフニウムはもともと、高い誘電率を示す絶縁材料として知られていた。その二酸化ハフニウムにシリコン(Si)を添加すると、極めて高い誘電率を示すことが発見されたことが、強誘電性を見つけるきっかけとなった。発見者は、東京大学工学部の鳥海明教授を中心とする研究チームである。

 2006年に学術論文に発表されたこの発見では、特定の結晶相(後述の直方晶)が高い誘電率と関わっているらしいことを指摘したものの、結晶相の識別にまでは至らなかった。この極めて高い誘電率は、後に、強誘電性の発現に由来するものであることが明らかになった。


東京大学工学部の鳥海明教授を中心とする研究チームが2006年に、二酸化ハフニウムにシリコンを添加すると極めて高い誘電率を示すことを発見した。後にこの高い誘電率は、強誘電性の発現によるものであることが明らかになった。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

 その後、2011年に国際学会でドイツの研究機関Fraunhofer Instituteを中心とする研究グループが、強誘電体の二酸化ハフニウム薄膜を作製したことを発表した。このときも東京大学の鳥海教授らと同様、二酸化ハフニウムにシリコンを添加することで、強誘電性を発現させている。

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