金属に同化するUHF帯RFIDでコンビニを変える:村田製作所がデモ(1/2 ページ)
村田製作所は2017年9月13〜15日に開催された展示会「自動認識総合技術展」でコンビニエンスストアの商品管理用途向けに開発するUHF帯RFIDタグのデモンストレーションを披露した。
目指すは1個1円以下
コンビニエンスストア(コンビニ)の商品管理がバーコードから電子タグに置きかわることが見込まれる2025年に向け、1個10円のチョコレートにも取り付けられるRFIDタグを実現したい――。
こう語るのは、村田製作所新規商品事業部応用技術商品部RFIDビジネスディベロップメント課でプロダクトエンジニアを務める山田信人氏だ。2017年9月13〜15日に開催された展示会「自動認識総合技術展」で村田製作所は、コンビニでの利用を想定したUHF帯RFIDタグのデモンストレーション展示を実施し、2025年をメドに1円以下のコストのRFIDタグを実現するとの開発姿勢を示した。
展示会「自動認識総合技術展」の村田製作所ブースでデモ展示が披露されたコンビニ向けUHF帯RFIDタグ(白いラベル形状のもの)。金属対応のRFIDタグであり、缶詰など金属素材を使用した商品に貼り付けても、通信が行える (クリックで拡大)
経産省、コンビニ大手の「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を受けて
2025年を開発のターゲットにしている根拠は、2017年4月に経済産業省が国内大手コンビニチェーン5社と共同で策定した「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」に由来する。同宣言は2025年までに、推計で年間1000億個とされる大手5社チェーンの全ての取扱商品に対し電子タグを貼り付け、商品管理を実施し、電子タグで得られた情報の一部をサプライチェーンに提供することを検討するといった内容が盛り込まれている。村田製作所では、こうした機運を受けて、コンビニで利用可能な電子タグの試作品を開発し、自動認識総合技術展でデモを披露したのだ。
ただ、コンビニでの電子タグ利用は簡単ではない。実際、コンビニ電子タグ1000億枚宣言でも、以下に挙げる2点が満たされなければ、宣言内容の実現を棚上げするという留保条件が定められている。
コンビニ電子タグ1000億枚宣言の留保条件
- 特殊な条件(レンジ温め、金属容器、冷凍・チルド、極細など)がない商品に貼付する「普及型」の電子タグの単価(ICチップ+アンテナ+シール化などのタグの加工に関する費用)が1円以下になっていること。
- ソースタギング(メーカーが商品に電子タグを付けること)が実現し、商品のほぼ全てをRFIDで管理できる環境が整備されていること。
(経済産業省ニュースリリースより抜粋)
この留保条件、言い換えれば、この2つの条件をクリアしない限り、コンビニでの電子タグの普及はありえないということを意味する。
今回、村田製作所が自動認識総合技術展で公開したRFIDタグのデモは、この2つの条件をクリアする可能性を示したものだ。特に、留保条件にある「商品のほぼ全てをRFIDで管理できる環境」を実現できる可能性を提示したと言えるだろう。
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