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心を組み込まれた人工知能 〜人間の心理を数式化したマッチング技術Over the AI ―― AIの向こう側に(15)(4/13 ページ)

「マッチング」と聞くと、合コンやお見合いなどを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、もちろん、それだけではありません。今回は、ゲーム理論、オークション理論、行動経済学を「マッチング技術」として解説します。実はこれらの技術は、“人間の心理を数式として組み込むこと”に成功していて、幅広い分野で成功事例がみられる、とても興味深く珍しいAI(人工知能)技術なのです。

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圧倒的な数の成功事例がある……!

 さて、これらの"マッチング技術"ですが、他のAI技術が、(技術的にはすごくても)なかなか実用化につながらないのに比べて*) ―― まあ、なんというか、圧倒的な数の成果のテンコ盛りです。

*)「我々が求めるAIとは、碁を打ち、猫の写真を探すものではない

 とにかく適用分野が広い。工学、コンピュータ科学、生物学のような理系分野だけでなく、心理学から、経済学、経営学、政治学、法学、社会学、人類学に至るまで、文系分野までバッチリ、サポートしています*)。比して、『"ニューラルネット"や"機械学習"が、政治や法律に使われた』というニュースや論文を、私はまだ目にしたことがありません。

*)というか、これらの"マッチング技術"は、理工学ではなく、経済学から始まっているので、当然かもしれませんが。

 ゲーム理論についてスタートを切ったのは、今、私たちが使っているPCの原形「ノイマン型コンピュータ」を考案したジョン・フォン・ノイマンさんと、それに続く「ナッシュ均衡」のジョン・フォーブス・ナッシュさんです(関連記事:陰湿な人工知能 〜「ハズレ」の中から「マシな奴」を選ぶ)。

 ゲーム理論については、この回でお話したので今回は割愛しますが、旧約聖書における神の行動(の矛盾)を、非協力ゲーム理論の観点から解析している人もいます(今「旧約聖書のゲーム理論―ゲーム・プレーヤーとしての神」読んでいますが、面白いです)。

 さて、次にオークション理論ですが、オークション自体は、ほとんど文明の発生と同時に行われていたほど起源が古く、「人類最古の"マッチング技術"」と言っても過言ではありません。少なくとも紀元前500年の古代バビロニアにおいて、「妻とする女性」をオークションで購入していたらしいです。"魅力のある女性"には、高値が付けられて、男性に売買されていたようです*)

*)この時代の話に人身売買の是非を論じても仕方がないので、その件についてはスルーしてください。

 ここに面白い話が一つあります。"魅力のない女性"は、どのように扱われたのでしょうか。

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