IoT時代をリードする人材とは:JASA発IoT通信(4)(3/4 ページ)
IoT(モノのインターネット)時代に求められる人材について、これから数回にわたり、考察していく。まず、IoTとともにビジネス現場で流行語となっている「イノベーション」という言葉とともに考えていきたい。
自社がイノベーションを起こせる環境をもっているかの調査
一般社団法人スキルマネージメント協会(SMA)では、個人を対象に「人材を育成する環境があるか」に関するアンケート調査を行なった。この調査は個人がSMAのWebサイト上のアンケート項目に直接答えたもので、一切、勤務先(会社)は関与していない。そのため、かなりの確度で回答者の本音が反映されているものと考えられる。以下に、このアンケートの中から、イノベーションを起こすことに関連する3つの調査結果を紹介する。
図3は、業務改善や新技術の開発などの提案に対する会社側の対応に関するものである。
「前向きに検討してくれる」が30%、「ある程度前向きに検討してくれる」が41%であるが、残りの29%はネガティブな対応であると答えた。この状況は会社側に積極的にイノベーションを起こすモチベーションがなくても、資本主義経済の中での発展プロセスを考えると極めて危険な態度のように見える。
図4は、業務の仕組みや技術開発の試みに失敗した場合の会社側の対応について問うた結果である。
「前向きに許容される」が65%で、残りはネガティブな対応との回答になっている。これについても35%の人たちがイノベーションあるいは新たな経済構造を生み出すことに関連する仕事とは程遠いところにいることが分かる。
図5は、会社で働くモチベーションについて聞いたものである。
最も多いものが「仕事にやりがいがある」であり回答率は53.7%に達した。ただ、「仕事にモチベーションはない」と答えた割合も18.2%に及んだ。実に2割弱の人たちがモチベーションなく働いているのである。人材を廃棄してしまっているに等しい由々しき状況である。
こうしたネガティブな状況を会社側は把握していないであろう。会社が実施するアンケートにこうした生々しい回答は得られない可能性がある。詳細なアンケート結果についてはぜひSMAのWebサイトをご覧いただきたい。ここで、技術開発あるいはビジネスに関わる人材に関する4つ目の要件を示すことができる。
IoT時代の人材に関わる要件 その4
資本主義経済を推進させる要件を満たす環境を用意し、その環境の中で人材が力を発揮できる仕組みを提供している。
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