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反強誘電体キャパシターから不揮発性メモリを作る方法:福田昭のストレージ通信(81) 反強誘電体が起爆するDRAM革命(2)(2/2 ページ)
二酸化ハフニウムは、条件次第で「反強誘電体(Antiferroelectrics)」になるが、反強誘電体の薄膜にある工夫を加えると、不揮発性メモリに応用可能になる。その「工夫」とは何だろうか。
分極曲線のシフトによって見かけの残留分極が生じる
こうすると、外部電界がゼロのときに、2つの状態が生じる。1つは、かなり大きな残留分極のある状態。もう1つは、ごくわずかに残留分極がある状態である。従って、外部電界を適切な範囲で変化させることで、「残留分極がほぼゼロに近い状態」と「残留分極が一定の大きさを維持する状態」の2つの状態を、外部電界をゼロにしたときに作り出せることになる。すなわち、不揮発性メモリを実現できることに等しい。
外部電界がゼロの位置(緑色の垂直な線)を左にシフトさせた状態で、外部電界を適切に制御する(前述のグラフの左半分の範囲だけを電界が変化するように制御する)。すると、外部電界がゼロのときに、残留分極がほぼゼロの状態(青線と緑線が交差する上の点)と、ある程度の大きさの残留分極が生じている状態(青線と緑線が交差する下の点)の2つの状態を作り出せる。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)
NaMLabおよびドレスデン工科大学などの共同研究グループは、この手法を二酸化ジルコニウム(ZrO2)の反強誘電体キャパシターに適用し、実際に記憶素子(キャパシター)を試作してみせた。その内容は、本シリーズの次回以降でご紹介したい。
(次回に続く)
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