5Gの実用化、予想を超える速さで進む:専門家の見解(1/2 ページ)
2017年9月に米国サンフランシスコで開催された「Mobiel World Congress Americas」では、通信業界の大手メーカー各社が、5G(第5世代移動通信)の実用化について強気な見通しを強調した。
従来の予想を上回るスピードで実用化が進んでいる
北米大手の通信事業者や通信機器メーカー各社のエンジニアたちの見解によると、5G(第5世代移動通信)ワイヤレスネットワークを実現するためには、標準規格やオープン性、政府規則の合理化などといったサポートが必要だという。それでも、5Gは従来の予想をはるかに上回る速さで実用化されるというのが、大方の見方のようだ。
5Gに関する詳細は、具体的にはまだ定義できていない。モバイル通信事業者の規格推進団体であるNGMN(Next Generation Mobile Networks) Allianceが、データ伝送速度や通信速度、スペクトル効率、レイテンシといった5G関連の要件を定義しているが、業界全体で5Gネットワーク標準規格の実現に向けて一致団結するには至っていない。
それでも現在、さまざまな企業が、5Gトライアルを推進している。VerizonとAT&Tはいずれも、米国内の複数都市において、主要な5Gトライアルを実施しているところだ。また、欧州やアジアでも、通信事業者を中心に数多くのトライアルを行っている。さらに2018年には、世界各国で大規模なトライアルが実施される予定だ。
市場調査会社IHS MarkitでM2M(Machine to Machine)/IoT(モノのインターネット)担当シニア主席アナリストを務めるSam Lucero氏は、「5Gネットワークの大規模な導入が実現するのは、2020年以降になる見込みだ」と述べる。
2019年に前倒しで導入も
標準規格がまだ策定されていない状況であるが、米国カリフォルニア州サンフランシスコで2017年9月12〜14日に開催された「Mobile World Congress Americas」では、基調講演の登壇者たちが、5Gの実用化について強気な見通しを示している。
Nokiaのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)であるRajeev Suri氏は、「5Gは、当初の予定よりも早い時期に、より広範な地域で実用化されるだろう。Nokiaとしては、2018年に大規範なトライアルを実施した後、2019年に5Gネットワークを導入する予定だ」と述べている。
5G関連のパネル討論に参加した登壇者の中には、米国の通信事業者のCTO(最高技術責任者)たちも名を連ねる。彼らは、実際に5Gの大規模な導入に向けた準備が整うまでにはまだ課題が山積みであることを認めながらも、前途有望な技術として称賛している。
AT&TのCTOであるAndre Feutsch氏は、「4G(第4世代移動通信)を素晴らしいロックバンドに例えられるなら、5Gは見事に調和したオーケストラだといえるだろう。5Gは、さらなる進展を遂げ、ネットワークの関連性を高めることが可能な、非常に大きなチャンスを提供する」と述べる。
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