NXPが車載用MCU/MPUを一新へ:ソフトウェアの開発負荷を軽減(1/2 ページ)
NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)は、車載システム向けの新たなコンピューティングアーキテクチャ「NXP S32プロセッシングプラットフォーム」を発表した。自動運転などを視野に入れた新型自動車の迅速な市場投入を可能とする。
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NXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)は2017年10月16日、車載システム向けの新たなコンピューティングアーキテクチャ「NXP S32プロセッシングプラットフォーム」を発表した。大手自動車メーカーの中で、8社が2020年以降に製造する車種にS32プロセッシングプラットフォームを採用しているという。
NXP Semiconductorsの副社長でオートモーティブマイクロコントローラ&プロセッサマーケティング&ディストリビューションを担当するRoss McOuat氏は、「自動車には、『コネクティビティ』『自動運転』『電動化』という3つのメガトレンドがある。これらのトレンドがソフトウェア開発を一層複雑にしている。既に高級車のソフトウェアコード行数は1億行を超える。この数値は航空機のボーイング787よりもはるかに大きい規模である。さらに次世代自動車のソフトウェアコード行数は現行の6倍へと指数関数的に増える」と話す。
こうした状況に対応するため、車載電子システムのアーキテクチャも大きく変化しているという。自動車メーカーは現在の「機能分散型」から、「機能ドメイン集約型」へとシステムアーキテクチャの移行を急ぐ。機能ドメイン集約型は、「コネクティビティ」「パワートレイン」「ボディ」など、システムを構成する領域ごとにコントローラを設けて、ネットワークに接続された数多くのセンサーやスイッチ類を階層的に管理する仕組みである。機能拡張や性能向上などへの対応も比較的容易だという。
新たに発表したS32プロセッシングプラットフォームは、ソフトウェア開発期間の大幅短縮やハードウェアの拡張性などを提供するもので、新たに開発するARMベースのマイクロコントローラ(MCU)/マイクロプロセッサ(MPU)製品群と、さまざまな用途に対応可能な単一のソフトウェア開発環境などからなる。もちろん、既存のMCU/MPUも、新たなプラットフォームに対応することができるという。
「新型のMCU/MPUはソフトウェアを単純化できるように設計されている。このため、ソフトウェアの開発期間をこれまでより大幅に削減することが可能となる」(McOuat氏)と話す。OSはAUTOSARの他、QNXやLinux、GHSのIntegrityなどに対応している。
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