IoTサービスを実現するためのスキルとは?:JASA発IoT通信(5)(1/3 ページ)
今回は、ドローンを用いたゴルフ場でのキャディビジネスを例に挙げながら、IoTを実現するために必要なスキルは、どのようなものかを考えていく。
IoTスキル検討ワーキンググループ
一般社団法人組込みシステム技術協会(以下、JASA)の活動である「IoTスキル検討ワーキンググループ(WG)」の活動について紹介する。この活動は、一般社団法人スキルマネージメント協会(SMA)の「モデリング技術者育成新分野研究会」と協調して活動している。
この研究会活動の目的は、IoT(モノのインターネット)サービスを実現するモデリング技術者に必要なスキルについて明らかにすることである。いわゆる、IoTサービスを実現するモデリング技術者にどのようなスキルが備わればIoTイノベーションを起こせるのかを検討する。このイノベーションという言葉の定義と新たな価値の創造プロセスについては、SMAの大原茂之氏が執筆した本連載の第4回を参照されたい。この技術者のスキルに関する議論については、最後の項目で述べる。
IoTは、センサーやエッジで接続されるフィジカル空間とクラウド上のサイバー空間で構成され、それぞれが連携して機能することにより新たな価値を創造する。このようなシステムを構築、運用して価値を創造する際には、それぞれの要素をモデル化することにより連携、協調、評価をシミュレーションできるようになる。また、データについても機械学習を行うことで、新たな価値を創造できる。研究会では、このような背景の下にIoTによって生み出されるビジネス価値と、サービスを実現する要素技術を表現する手法の研究、IoT分散型モデルベース開発におけるモデルの設計、評価方法の調査研究を行っている。
IoT分散型モデルベースによる設計開発スタイルの例
サイバー空間上でデバイス、エッジのモデリングを行い、そこから得られたモデルの集合がIoT分散型モデルベースである。この分散型モデルベースを用いて設計し、シミュレーションによる検証を行った後に、フィジカル空間で評価、検証を行う。このことにより、フィジカル空間での検証期間を短縮できるようになる。このようにクラウド上にデバイス機能が分散し、それぞれのモデル(表現の異なるモデル)が連携、協調しながらサービスを実現する。サイバー空間でモデルベースシミュレーションして得られたログは、ビッグデータになる。このビッグデータを用いることで、フィジカルでは実現することが難しいプロセス(フォルトインジェクションなどを含む)についても評価が可能になる。時間とともに、フィジカル空間のデバイスが追加された時、または故障した時など、一部はサイバー空間でシミュレーションしながら実行するなど、デバイス側のモデルが一部分離する場合もある。さらに、サイバー空間のモデルをリアルタイムに動作させてフィジカル空間のデバイスの動作を予測させることも可能になる。このような利用方法が広がることで、大きな価値を創り出せる。これらを実現するモデル間のインタフェースをどのように設計、表現するか? また、その検証をどうするか? などについて研究を行っている。
ここで、具体的な事例を基にIoTサービスをどのように定義すればよいか検討する。
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