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有機ELの生産能力、今後5年間で4.2倍にカギを握るのは「iPhone X」(1/2 ページ)

世界の有機ELディスプレイパネルの生産能力は、今後5年間で4.2倍に増える。スマートフォンなど携帯機器向けを中心に、韓国と中国のパネルメーカーが増産投資を展開する予定である。

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中国メーカーもRGB型OLEDの生産能力増強

 市場調査会社のIHS Markitは2017年10月24日、有機ELディスプレイ(以下、AMOLED)の動向および、スマートフォン用ディスプレイ市場に関する今後の需要見通しなどについて、記者説明会を東京都内で行った。

 IHS Markitによれば、フラットパネルディスプレイ市場は2017年に約1245億米ドルとなる。このうちTFT LCDが全売上高の80%を占め、AMOLEDは19%の構成比率となる。2022年には市場規模が全体で1400億米ドルを超え、その構成比はTFT LCDの61%に対してAMOLEDは39%まで高まると予測する。


TFT LCDとAMOLEDの売上高推移と予測 (クリックで拡大) 出典:IHS Markit

 IHS Markitのシニアディレクターを務める謝勤益(ディビッド・シエ)氏は、AMOLEDの構成比率が高まる要因として、「TV用途での拡大」「スマートフォン向けでフルスクリーンやフレキシブル化など高付加価値製品への移行」「車載システムやHMD(ヘッドマウントディスプレイ)など新たな用途の拡大」「韓国と中国のパネルメーカーによる生産能力拡大」などを挙げる。

 AMOLEDは現在、主に2つの方式が量産されている。スマートフォンなど携帯機器向けのRGB型OLEDと、TV向けのホワイト型OLEDである。IHS Markitの分析によれば、2017年の生産能力は2方式合計で1190万m2である。これが2022年には5010万m2となり、4.2倍に拡大することが分かった。このうち、RGB型OLEDの生産能力は2017年の890万m2から2022年には3190万m2へ、ホワイト型OLEDは同じく300万m2から1820万m2に、それぞれ拡大する見通しだ。


AMOLEDの生産能力の推移 (クリックで拡大) 出典:IHS Markit

 大規模な設備投資を行うのは、RGB型OLEDを中心とするSamsung Displayと、ホワイト型OLEDで強みを持つLG Displayである。これら韓国の2強メーカー以外にも、BOEやChinaStar、Tianma、Visionox、EverDisplay、Truly、Royoleなど中国のパネルメーカーが、携帯市場向けのRGB型OLEDについて、生産能力を拡張しているという。

左はAMOLEDの生産能力ランキング、右は携帯機器向けRGB型OLEDの生産能力ランキング (クリックで拡大) 出典:IHS Markit

 製品力やコスト競争力では韓国勢が圧倒的強みを持つが、中国製品を優先購入する、いわゆる「バイ・チャイナ」の動きもあり、中国製AMOLEDのシェアは2017年の5%から2022年には26%へ、21ポイントも上昇する見通しである。この結果、韓国勢のシェアは93%から71%に下がると予測する。携帯機器向けRGB型OLED市場に限定すれば、中国勢のシェアは2022年に34%へと高まる見込みである。

 こうしたシェア変動に対して謝氏は、「韓国メーカーにとって、中国企業が取り組むRGB型OLEDの生産能力増強は脅威だが、中国メーカーのOLED生産ラインは比較的小規模で複数の地域と企業に分散している。これに対して韓国メーカーの生産ラインは、大規模で生産効率も高い」と指摘した。

 スマートフォン向けディスプレイの進化にも触れた。特に、Apple「iPhone」やSamsung「Galaxy」の最新モデルを例に挙げた。表示部はLCDからAMOLEDへ、表示画面サイズは16対9からフルスクリーンへ、そして基板はリジッドからフレキシブルへと進化していることを紹介した。

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